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今月の薬用植物
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2011年5月

ボリビアキナノキ(Cinchona ledgeriana
アカネ科(Rubiaceae)




キナノキの成分と言えば、薬学で学んだ人なら、キニーネ、マラリアの特効薬と答えるでしょう。キニーネの構造にはキノリン骨格を含みます。しかし昨今、マラリアの薬は重要でないと思っている学生・先生がいるようです。日本には関係ないからでしょうか?
植物の花は、時期が合わないとあまり見ることが出来ませんが、3月初め、武田薬品京都薬用植物園に伺ったとき、ラッキーにボリビアキナノキの花を見ることが出来ました。(大はしゃぎ (^O^) )  キナノキの薬効は、抗マラリア作用、解熱作用等です。また、キニーネが大変苦いので健胃薬としても用います。しかし昨今、マラリア原虫もキニーネに耐性を持つようになりました。そこで合成薬のクロロキン等が創られましたが、長年使っているとマラリア原虫も合成薬に対しても耐性を獲得します。これらの薬の効き目が悪くなり、大問題となっています。人はいつまで、病原微生物と戦い続けるのでしょうか?
 推定ですが、1年間でマラリアに感染する人は3〜5億人、死亡する人が150万〜270万人と言われています。また、同じように熱帯・亜熱帯ではリーシュマニア症という寄生虫による病気も問題になっています。皮膚リーシュマニアに紫雲膏が効くということで、スーダンに行っておられる川原先生に差し上げたことがあります。再度欲しいと言われましたので送りました。
 日本人の死亡のトップが悪性腫瘍(ガン)で、33万人位、ガンによる死亡数は、世界で800万人位だと言われています。しかし発展途上国では、ガンと分からなくて亡くなった人も多いはずです。
世界の国の半分くらいは、薬も,医師も不足しているのですから。

 今回の震災等で避難している人に薬剤師の出来るボランティアの例として、服用薬の調査,医薬品および情報の提供等があります。薬を飲んでいるお年寄りが大変多い。飲んでいる薬の名前を憶えている人は少ないと思います。しかし、1)どのような症状でもらったか。2)薬の形、3)色、4)一日の回数、一回の個数などから、薬剤師は薬を推定できる。これを集計し、医師に連絡、また、薬問屋、地域の薬のネットワーク(DIセンター)などに問い合わせて、薬を集めることも出来るのではと思いましす。
また、インフルエンザ・風邪の予防方法(渋茶でのうがい等)、嘔吐下痢の予防法なども伝えられるはずです。
低体温症の方に温める漢方薬の投与(2類薬の市販薬の中にもある)などもできるのではないでしょうか。
報道でよく間違って使われる言葉があるので、簡単に説明しておきます。
 1)放射性物質(放射線をだす能力を持った物質)
 2)放射線(物質からでる線。α線、β線、γ線など)
 3)放射能(放射線を出す能力)

震災の被害の方々への勝手なスローガン
”笑い顔を、話をしよう、遠慮しないで甘えよう、1日ひとつ少しずつでも元気がでることを”


ご自由にご利用ください!"2011年5月カレンダー" 


写真(2011年3月 武田薬品京都薬用植物園)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2011.5.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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