熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2011年4月

クルクリゴ(Curculigo sp.
キンバイザサ科(Hypoxidaseae)




1年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
お腹(中)に力を入れて『学問』に励んで下さい。

 東日本の震災で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げます。また、被害に遭われた人達にお見舞いを申し上げます。
足元、野山に咲く花が、皆様の心の・元気の支えになればと思います。

 原発事故以来、九州を訪れる外国からの観光客が減りました。”風評被害”です。西日本は安全です。これまで以上に春の桜が奇麗です。祭りは盛大に、外国からの観光客を呼び込み、その収益金を東日本に送るべきです。そうでないと、いろんな会社が、連鎖的につぶれる可能性があります。

“元気になろう日本”

 3月6〜17日の間、ベトナム(Vietonam)中央部のHue(フエ)の近くのBach Ma国立公園、南部のHo Chi Min(ホーチミン)近くのCat Tien国立公園で薬用植物調査をしてきました。Bach Ma国立公園は海抜数m〜1500mの垂直の植生変化があります。それに比べ、Cat Tien国立公園はほとんど平坦で、密林の中にワニのいるクロコダイル湖もあります。歩道以外は地雷が埋まっている可能性があるので、勝手に中には入れません。また、密林の歩道も分岐し、ガイド無しには歩けるようなところではありませんでした。

 今回は、ベトナムの密林の木陰で見つけた『クルクリゴ(Curculigo)』の仲間を紹介します。初めて花を見ましたので感動しました。植物は小さなハランのようです。茎の根元に黄色い花をつけていました。2カ所の国立公園内で見つけたのですが、花の大きさが違いました。環境のせいでしょうか? 花の写真はCat Tien国立公園のクロコダイル湖近くのもので、果実の写真は、昨年昭和大学薬用植物園の磯田先生が撮影したBark Ma国立公園内のものです。
クルクリゴは果実に含まれる味覚変換物質により、酸味、苦みなどを甘みに変えます。これはネオクリン等の味覚修飾タンパク質によるものです。ミラクルフルーツと同じようなものですが、 クルクリゴ果実の成分は20分位で変換能力が消えるのに対し、ミラクルフルーツ(ミラクリンという味覚修飾タンパク質を含む)は1時間近く維持するので、ビールが1時間以上甘くなります(教務委員長の石塚教授が実験済み)。クルクリゴ果実をかじり、水を飲みますと少し甘く感じます。糖尿病患者の方に良いのではという話もありましたが、食事が全て甘くなり味覚がおかしくなるので、一時期話題になったものの、実用化されませんでした。

 身近に味覚を変換する植物があります。例えばナツメの葉、ナツメの葉を噛んで舌の上で30秒ぐらい転がしてから、チョコレートを食べると、砂糖の甘みが消え、カカオ本来の味がします。生の葉でも乾燥した葉でも同じです。市販しているギムネマ茶も同じですね。

 熊本ではソメイヨシノの開花宣言が3/21日にありました。サクラのシーズンです。センター(薬用植物園)でも、3/20前後に早咲きの江戸ヒガンサクラが満開になりました。ソメイヨシノ、オオシマザクラは、枝切りをたびたびされたり、建物の日陰になったり、元気がありませんが、4月に入り奇麗に咲いています。

 これから植物達が、寒さの中、貯めていたエネルギーを爆発させ花を咲かせ、芽吹き、新しい葉を太陽に向かって広げます。元気が出ますので、暖かいときに、ぜひ薬用植物園にお立ち寄りください。

 原発事故でヨウ素131があちこちで基準値を超え、いまだ続いています。東電の危機管理の無さを痛感しています。
ヨウ素131の半減期は8日と短く、80日ほどでほとんど無くなります。
 今回の事故と直接比較できませんが、1940年8月の広島、長崎の原爆の時、その後は、放射能、放射性物質がどの程度だったのだろうかと思っています。

震災の被害の方々への勝手なスローガン
”笑い顔を、話をしよう、遠慮しないで甘えよう、1日一個少しでも元気がでることを”


写真(2011年3月 ベトナム、クルクリゴ果実の写真は、昭和大学薬用植物園磯田進先生より)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center(Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野) 
矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),(変更日:2011.4.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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