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2011年1月 アカネ[Rubia argyi (Rubia akane) ] アカネ科( Rubiaceae) |  |  |
明けましておめでとうございます。
今年も昨年にまして良い年でありますように。
新年は阿蘇の山々は銀世界です。久しぶりに冬を感じる正月です。のんびり正月を過ごしていますか?
植物園の温室のボイラーはフル回転、温水ボイラーがばてずにがんばってほしいものです。
新年の薬用植物は“アカネ(茜)”です。万葉集には『あかね』という言葉を含む歌が13首もあります。日、照る、昼などの枕詞で用いられますので、新年の薬用植物に選びました。また、鹿児島県ではコガネグサと言いうところもあります。
根を掘ると新鮮な時は橙色ですが、乾かすと茜色(赤根色、赤に近い橙色)に変わり、その色から名がついたようです。根を染色に用い、茜染めと言い、その染め布は、女性の腰巻きなどにも用いました。これは女性生理痛o生理不順等の予防のためでもあり、これから薬を飲む時の“服用”があると言われています。他に腰巻きの赤色の染色には、紅花なども用いられています。
薬用としては、乾燥した根を茜草根といい、性質は寒、味は苦。効能として、止血、通経などの目的で用います。中国ではアカミノアカネ(Rubia cordifolia)の根[茜草根(qian cdo gen, せんそうこん)]を薬用とし、止血、通経、咳を止め去痰などを目的に吐血、鼻出血、尿血、子宮出血、打撲、慢性気管支炎などに用いると記されています。
数年前、西洋アカネに肝臓障害、発ガンの疑いがあると言われ、西洋アカネからの食用色素などでの利用が禁止されました。日本のアカネにはその成分が含まれないので、大丈夫だとのことです。
昨年10月にネパールに出かけたときに、アカネの仲間(Rubia manjith)を見つけました。日本のアカネと比べ、花が赤褐色、茎も乾燥すると赤褐色に変わります。
同じアカネ科の植物では、正月のおせち料理の栗きんとんの染色に使うクチナシ、他に、コーヒーノキ、ヘクソカズラ、カギカズラなどがあります。
昨年末から、ノロウイルスによる嘔吐下痢症、咽の痛くなる風邪が流行しています。特に子供さんのノロウイルスによる嘔吐下痢症で、地域医療センターは大忙しのようです。
嘔吐下痢症は、ウイルスによる症状ですが、漢方から観ると、体内の水のバランスの偏重ですので、五苓散が良く効きます。病院に行く前に飲ませてみては如何でしょうか?
もう一つの咽の痛くなる風邪ですが、咳と咽喉部が炎症を起こし痛みを伴います。咽の炎症を抑えるのに石膏、咳を止めるのに桔梗で、漢方処方の“桔梗石膏”という薬がありあます。これもよいですね。ひどくなる前、咽がおかしいかなと思ったら、お〜〜〜と言いながら“うがい”をしてください。身近なものでは“お茶”ですね。特に、ポリフェノール(タンニン、カテキン類)の多い“渋茶”がお勧めです。うがいは、最初は“ゴロゴロ ぺ”で吐き、咽・口を洗い、2回目からは“ゴロゴロ ゆっくりゴックン”で咽の裏を洗ってください。
皆さん、今年も健康で、元気(元の気)で、よい年でありますように。
熊薬125周年の事業で、”薬用植物園ポストカード「薬用植物園からの花だより」を作っていただきました。”花便りのメールで皆さんに送信している写真が主です。一枚に6個の写真が入って、80円/枚、12種類作ってもらいました。12枚セットで900円です。 ("No.1-4", "No.5-8", "No.9-12"、"ハガキ表") ("72個の植物の概説")。 薬学部生協で売っています。沢山ご購入してください。
写真(2010年9月阿蘇) (資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター Medicinal Plants Eco-Frontier Center (Medicinal Botany and Ethnobotany ) (薬用植物・生薬学分野) 矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2010.12.31) トップページへ戻る |
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