熊本大学薬学部
 
  トップページ / 今月の薬用植物
ワード検索
今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2010年10月

ダイズ(Glycine max (L.) Merr.subsp. max
マメ科( Fabaceae)




 ネパールのトレッキングに出かけ、予算不足になったため、パソコンが購入出来ず掲載が遅れました。まだ新しいのは購入できていませんが、iBOOKで対応しています。 
 10月は、日本植物園協会海外調査でネパール植物調査のトレッキングに、3日〜16日の間(トレッキングは6日〜10日)、2500m〜3700mの高地の調査に出かけていました。今回は大きな感動がありました。ヒマラヤで始めて"Panax(薬用人参)の仲間"に会うことが出来ました。大感激。見つけた時は、見境も無く、道の切り立ったところを登っていました。(落ちなくて良かった。良く見れば裏にきちんと道がある)。また今回は4000mを越さなかったので、高山病にはほとんどかかりませんでした。血中酸素は3700mで75%位まで落ちましたが。少し頭痛がした程度でした。
写真左は、2500m位のホテルから見た朝日に染まるヒマラヤの山です。さすがにエベレスト山は見えませんでしたが、ダウラギリ、アンナプルナは見えました。雪の氷河をかぶっているのは5000m以上の山です。
 ネパールではカレーが主役です。特に豆カレーのダルバート[ダル(豆)、バート(カレー)]は大好きです。緑豆、小さな黒大豆、黄色大豆などが入っています。

今月の薬用植物はダイズです。
 ダイズを知らない人はいないと思いますが、ダイズの花はほとんど見たことがないのではないでしょうか。アズキ(小豆)は黄色で、ダイズ(大豆)は青紫色の小さな花を葉の根元に咲かせます。種子を大豆と言い、きな粉、豆腐、味噌、醤油、納豆、おから、湯葉、豆乳などに加工され、食卓に並んでいます。また、若いダイズの種子は枝豆として、ビール、酒のつまみに食べられます。   大豆には、タンパク質、脂質が多く、糖質も含み、栄養価が高い食品です。必須アミノ酸という言葉をご存知でしょうか?身体を構成するタンパク質を作るために必要なものです。それが、玄米(白米は糠を取り除いた粕ですね)と大豆でほとんどまかなえます。昔の日本人は良い食品を食べていたのですが、現在はいかがでしょうか?米の消費量は1/3位になり、大豆の消費量も激減しているようです。
 大豆の中で薬用として用いられるのは、黒豆です。民間薬として、咳止めに20g位を、水300cc位で煎じ半量として、頓服(必要なとき)で何度かに分けて飲む。解毒、利尿を目的に、炒った黒豆20g位を500ml〜1L位の水でお茶代わりに飲む。酒を飲むときに枝豆、大豆製品を一緒に食べると、肝機能が良くなり、二日酔いしなくなる可能性もあります。お試し下さい。花でお茶を作って飲むのも解毒の効果は強いようですが、花は小さいので、大豆の方が大きく良いですね。普通の大豆でも同じような作用はありますが、少し弱いようです。お正月のお節料理に黒豆の煮たものが付き物です。肝臓を丈夫にして一年間を乗りきろうということかもしれません。汁も一緒に飲むと良いですね。
 近ごろ有名になっているイソフラボノイド類が大豆には含まれ、女性ホルモン様作用をしますので、男性の前立腺肥大改善、女性の更年期障害予防などに効果があると言われています。しかし、イソフラボノイド類を沢山含む豆乳を乳児には飲ませ続けないで下さい。

 この数年、予想もしない中毒が起きています。それが生、半生の大豆および豆類による、嘔吐・下痢です。大豆などの豆類に含まれる蛋白分解酵素を熱で変性させないまま、食べると、人によっては、嘔吐・下痢を起こします。豆類はきちんと火を通し、加熱してから、食べるようにして下さい。
 なんでもかんでも、生が良いわけではありません。昔の方々は、人の体で実験(食し)悪いところは除いて、調理する方法を考えているはずです。科学が無かった時代だから、細かく観察し、考えてきたの結果ではないかと思います。


熊薬125周年の事業で、”薬用植物園ポストカード「薬用植物園からの花だより」を作っていただきました。”花便りのメールで皆さんに送信している写真が主です。一枚に6個の写真が入って、80円/枚、12種類作ってもらいました。12枚セットで900円です。
"No.1-4", "No.5-8", "No.9-12""ハガキ表"
"72個の植物の概説")。
 薬学部生協で売っています。よろしければご購入いただき、ご意見をいただけますと幸いです。

写真(2007年9月阿蘇)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center (Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2010.11.4)
 
トップページへ戻る


, from 8, May, 2004



 
当ウェブサイトの著作権は、熊本大学薬学部及び記載責任者に属します。 掲載内容および画像などの無断転載を禁止します。
熊本大学ホームページへ 医学薬学研究部へ サイト案内