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今月の薬用植物
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2010年6月

アカメガシワ (Mallotus japonica (Thunb.) Mucll.-Arg. )
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)




『雨よ降れ降れ雨よ降れ、蛙も蚯蚓も燕も百姓もまっている』(河童)

 6月に入り、梅雨の気配がありません、黄砂が飛んできて花粉症ならぬ、黄砂症で眼が痒い人が増えています。今年は冷夏にならなければよいのですが。アンズの実がたわわに熟し始めました。

 今月の薬用植物は、”アカメガシワ”です。写真の花は左が雄花、中央が雌花、右新芽の赤芽です。薬用資源エコフロンティアセンター(薬用植物園)管理棟の2Fに上がる階段の横にあります。春の新芽は赤く、奇麗ですが、花が咲くころには全体が緑の葉に変わっています。秋には黄色く色付き落葉します。

 アカメガシワの樹皮を薬用として用い、生薬名を”赤芽柏”、別名、将軍木皮ともいいます。民間薬として、抗潰瘍作用を目的に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に、乾燥樹皮2g位を水300cc位で半量まで煎じ、その煎液を食後3回に分けて飲むと効果があるようです。他に葉を煎じたものを腫物の患部に塗布すると良いと言われています。私は大学時代に胃潰瘍になったようですが、鈍いのか気が付きませんでした。胃カメラで見ると、今でも潰瘍痕があります。知っていれば”赤芽柏(アカメガシワ)”を試したのですが。
 中国では、樹皮を乾燥したものを”野梧桐(やごどう)”と言います。同じように消化機能を調整する効能があり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を治すと記されています。1日3−4gを煎じて飲む、または、粉末を服用するそうです。
 成分としては、苦味成分のイソクマリン誘導体の bergenin、フラボノイドの rutinなどが報告されています。

今、合志市を走ると、クリの花が咲いて香りが風に乗って漂っています。特有の香りですのですぐに分かります。庭のビワが熟れてきました。鳥達が美味しそうについばんでいます。黒髪の法文学部玄関前の梅の木から梅の実が一杯落ちていました。クチナシの花の香りがします。頭の上でタイサンボクの花が咲いています。高すぎて見えませんが、花の香りが降ってきます。肥後六花の肥後ハナショウブ(アヤメ科)が大きな花を咲かせています。

皆さん、お時間がありましたら、薬用植物園においで下さい。花達が、お待ちしています。

写真(雄花:2010年6月2日センター、雌花2002年岡山。新芽2010年3月センター)
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンター
Medicinal Plants Eco-Frontier Center (Medicinal Botany and Ethnobotany )
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2010.6.2)
 
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, from 8, May, 2004



 
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