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今月の薬用植物
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2010年3月

アブラナ ( Brassica rapa L. var. oleifera DC.)
アブラナ科(Brassicaceae)




『空から見た 緑の日本 再確認 水と緑の国 幸せと思う』(河童)

 先日、副学長のお供をしてネパール、ポカラ大学の卒業式に行ってきました。一日がかりで夜中にカトマンズに着き,次の日は約200km離れたポカラまで車で移動しました。思ったよりも暖かで、卒業式(2/20)の日中は、23℃まで上がっていました。カトマンズも最低気温が12度ぐらいで暖かかったです。

   今月の薬用植物は、ポカラの日本人が建てたお寺で撮影した菜の花(アブラナ)です。
  薬用には、種子から得られる油を、軟膏基剤、リニメント剤の基剤、油性の注射剤の溶剤に用います。
 ほとんどが食用ですが、他には灯油(ともしあぶら)、機械油にも使われ、搾りかすは肥料として使われています。ナタネ油の油脂の脂肪酸組成は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エリカ酸などです。
 昔から栽培されているアブラナは、心臓に毒性があると言われているエルシン酸の含有が高いものでした。現在栽培されている種は、エルシン酸含量を抑えてあるものです。
 ネパールでもアブラナから菜種油が作られています。しかし、品質管理が悪いことがたまにあり、種子の大きさ色が同じようなケシ科の植物の種子等が混ざり、それが油として流通し、トラブルが起きているようです。逆に、安全性を重んじる余り、輸入した菜種油を油脂(脂肪酸のトリグリセライド)だけにし、それにビタミンE等を加えて均一にした製品が日本で出回っているようです。
 食品で摂取する時、「ω6の脂肪酸、ω3の脂肪酸が良い」、「吸収しにくい油が良い」等といって、ある製品だけを偏って摂取すると体に害を及ぼすことがありますので、過度・偏った摂取は気を付けて下さい。

 平年は3月中旬だった菜種梅雨が2月終わりから始まり、園では、すでにアンズ、ミツマタ、サンシュユ、コショウノキ、ジンチョウゲ、シキミが満開です。コブシも花弁が見え、モズが蜜を吸って蕾を落としています。江戸彼岸桜も蕾がピンクになっています。一度寒気が来て暖かくなる来週末には咲くかもしれません。

 たまには足下の草花に目をやって観て下さい。オオイヌノフグリ、スミレ等の花が咲いています。小さな発見があり、少し元気になります。”花は心の薬です”。

写真(2010年2月21日、ネパール ポカラにて)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2010.3.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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