熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

     明けましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。


2010年1月

カンレンボク(Camptotheca acuminata Decne. )
ミズキ科(Cornaceae)




『五感、感性を磨いて、元気(普通)な生活』(河童)

 阿蘇山頂は雪をかぶり白くなっています。今年は寅年、年男です。長生きしたものです。しかし今の平均寿命ですと、まだまだ先は長いですね。これからも一人でも多くの人に、薬用植物・漢方薬の正しい使い方を伝えることが出来ればと思っています。勉強・勉強です。

 生活に季節感が無くなってきました。室内の温度、食べ物もそうですね。冬の寒いときに部屋を暖かくして身体を冷やす食べ物を多く摂る、歩かない(筋肉を使わない)、ミニスカートをはいて足腰を冷やす、湯槽に入って温まらずシャワーで済ませる(身体が温まらない)、水の摂りすぎ等々で、身体が冷えて免疫が落ちている人が増えています。これでは病気が減らないはずですね。

 今月の薬用植物は、カンレンボク[別名:喜樹(キジュ)]です。英名をHappy treeと言い、和名の喜樹は英名から名前がついたようです。カンレンボクは中国原産の有毒植物です。根、茎、葉、実を薬用とし、抗腫瘍作用があるとして用いられ、抗腫瘍活性成分のカンプトテシン(アルカロイド)が単離されましたが、副作用が強く、薬には出来ませんでした。しかし、抗腫瘍活性が強く、副作用が少ないイルノテカンに誘導し、肺ガンの薬とし医療用に製品化されています。それでも副作用として、下痢、白血球減少などがあり、注意して用いられています。
 抗がん剤は癌細胞だけでなく、普通の細胞も攻撃しますので、色々と副作用が出てきます。また、長期投与で身体が冷えてきます。これも身体の免疫力を落すことになります。さらに、昨今癌細胞が薬に対して耐性を持つ、正常細胞の中に潜り込み薬の効果が出にくくすることが明らかにされているようです。もしかすると今の人の細胞が元々が癌細胞の変異ではないかなと思ったりもします。(受胎後の細胞増殖と癌細胞の増殖に共通点があると言われています)

 植物もたまに癌化した瘤が出来ます。瘤は良性の細胞なのか?、もし悪性だったらどのようにしてそれを抑えて生きているのかと思います。植物のある組織の細胞を培養するには、最初はカルス状態(カルス:固形培地上等で培養されている分化していない状態の植物細胞の塊)で増殖します。これも癌細胞の一種でしょうか? そのカルスの細胞をホルモンを替えて培養すると、根が出たり、地上部が出て、元の植物になります。ガン細胞のように増える細胞が普通の細胞に戻って植物体を形成します。不思議ですね。
 人も、生体のバランスを巧く保てば、健康で生活出来るのかもしれませんが、これだけ情報が氾濫し、季節感の旬もなくなった時代、地球の自然に合わせて身体のバランスを保つことも難しいのかもしれません。皆さんはどのようにして身体、心のバランスを取っておられるでしょうか。宜しければメールでお教え下さい(メールアドレス: yaharas1@gpo.kumamoto-u.ac.jp  )。お待ちしています。

 今年も皆様にとって少しでも良い年でありますようお祈りいたします。

 今年もよろしくお願いします。

写真(2009年7月(花)、12月(果実)、薬用植物園にて)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2009.12.31)
 
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, from 8, May, 2004



 
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