熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2009年11月

カノコソウ(Aralia elata Briquet )
カノコソウ科(Valerianaceae)




『小さいことも 嬉しいな 楽しいな
 なんでもかんでも 前向きに 考えると 夢膨らむ』(河童)

 少し寒くなって来たと感じたら既に12月でした。子供の頃は寒いので、温まるために手をこすりながら走って学校に行っていたものです。
 薬用植物園の木々が紅葉してきました。ムクロジ、イチョウ、ハリギリ、アカメガシワ、サルナシ等の葉が黄色に、アンズ、ノブドウ、エビズル、カキ等の葉が紅色になっています。案内の看板の位置から東を見ると奇麗です。今週一杯が見ごろだと思います。落ち葉踏みに、お立ち寄りください。

 写真左(カノコソウ)、右[ツルカノコソウ(薬用ではありません)]

 今月の薬用植物は”カノコソウ”です。薬用には、根及び根茎を用います。日本薬局方に”吉草根(きっそうこん)”で収載されています。北海道で栽培されていますが、野生のものは、日本各地の、やや湿った山地に自生していますが、少なくなってきました。6〜7月ごろ少しピンクの白い花を咲かせます。カノコソウには特異な香り(モノテルペノイドのbornyl isovalerate等)があります。
 効能は、鎮痛、鎮静、通経の作用があり、粉末をヒステリーの鎮静剤として婦人用の薬に配合します。また、カノコソウチンキもあります。ヨーロッパでは西洋カノコソウ(Valeriana officinalis L.)があり、ギリシャ時代から精神を鎮め、眠りを深める目的で用いられてきました。日本には江戸時代後半に渡来したようです。私が学生の時は、ヒステリーにはカノコソウと覚えました。ただし、香りは良いないので、効くのかなと思っていますが、男性には駄目なのかな? どこでもいつでも寝る自分には合わないのかなと思っています。
 昨今ストレス等々で不眠になり、自殺へとすすむケースもあります。眠りを深めるカノコソウが脚光を浴びるのかもしれません。
 眠れないときにウサギが1匹ウサギが2匹と数えていると集中して寝れなくなる人が多いのですが、1000匹位になると脳があきらめてきます。そうするといつのまにか寝ています。脳が疲れて、あきらめると眠りに入ります。講義の時に寝る人は、聞いても分からないと、あきらめているから熟睡しているのかもしれません。
 良いお年を迎え下さい。来年もよろしくお願いします。

 来年も、月例の1)薬用植物観察会、2)漢方とハーブ、3)傷寒論を読む会、 9月末か10月始めに”薬用植物を知ろうin熊本(阿蘇)”を行いますので、お時間があリましたら、是非お立ち寄りください。特に外で花々を見る観察会は楽しいです。今月は12日に花が少ないので温まるチャイ(ミル紅茶)でも作ります。

写真(2007年7月、阿蘇にて)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全、育種),変更日:2009.12.6)
 
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, from 8, May, 2004



 
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