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今月の薬用植物
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2009年10月

ヒマラヤナシ(Pyrus pashia Buch.-Ham. ex D.Don )
バラ科(Rosaceae)




『人生は 楽しく・喜び・良い(いい) 加減

 Nagarkot高原の朝日も嬉し 赤とんぼ』(河童)

 9月は、ラオス、ネパールに行ってきました。ラオスは学生さんと、ネパールは友達と。植物を追っかけて楽しみました。多くの新しい人達にも会え、広がりが持てました。人との繋がりは嬉しいことです。
 今月の薬用植物はナシ(梨)です。写真はネパール、Katmandu近くのNagarkotで咲いていた季節外れのヒマラヤナシの花と、食べるには少し早い果実です。
 中国では果実を”山里紅”(shan li hong、さんりこう)と言い、性味は、酸甘・温。薬効は、食積を消し、お滞を化すの効果があり、肉を食べて胃がもたれるときの消化促進、消化不良に、泄瀉(便通を良くする)、痛み止め、産後の血液の流れの悪いことによる痛み、高血圧を治すと言われています。果実の乾燥したもの約10gを煎じて服用すると効果があるでしょう。
 ヤマナシの果実も薬用に用います(食用の梨も同じと考えられます)。性味は、酸甘・涼。薬効は、津液(水)を生じ、燥を潤す、痰を化すの効果があり、渇きを消す、熱による咳嗽を止める、便秘を治す等の作用があります。同じナシの仲間でも性質、薬効が少し異なるのも面白いですね。
 果物を食べ過ぎると下痢をするのは、津液を潤して、お腹を緩くするせいでしょう。食べ過ぎには御注意を。
 ネパールでは、ムカデに噛まれたり、牛のウンコを踏んだり、落っこちたり面白かったの連続でした?。Nagarkot高原でドバイから来た4人家族にお会いしました。自然が無いのでネパールの山の自然を楽しんでおられました。私どもがキイチゴを見つけたら息子さんが「食べれるの」といいますので、あげると最初は慎重に食べ、美味しかったのかいくつも食べていました。キイチゴも、クワの実も食べ過ぎるとお腹が緩くなります。便秘の人には良いかもしれませんね。
 9月にラオス、ネパールで食べたものは、ラオスのラーメン(米麺に豚骨or鶏ガラのあっさりスープにたっぷりの野菜)、外郎(ういろう、もち米の粉で作る)、塩辛など、ネパールのカレー、モモ(ギョウザ)。想像してお腹を空かせて下さい。夏バテした胃には、トウガラシの入っていないラオスの野菜ラーメンが良いかもしれませんね。
 米の文化は揚子江付近で始まったと言われています。それが東は日本へ、西は東南アジアへ。日本とラオスに同じような食べ物がみられます。納豆(乾燥または味噌状で粘り気は無し)、熟れ鮨、醤油(魚醤)、外郎(日本では最初はうるち米だったようですが、今はもち米)等々、ラオスは暖かいので米の文化です。大きな違いは野菜に香草が多いことですね。また南米から渡来した唐辛子を多く使っていることです。

 秋になると乾燥してきます。乾燥すると胃の水(津液)が適度に少なくなり、胃の調子が良くなります。そうすると食欲が増します。湿度の多い梅雨から夏にかけて食欲が落ちる方は、胃に津液(水)が少し多い人で、水分により胃が重くなるから食欲が落ちるのでしょう。そのような方が秋に食べ過ぎると胃を一層弱くしますので、過食には気を付けて、胃をいたわって下さい。胃は車で言うとエンジンです。チューンナップを丁寧にして、美味しい楽しい食事を少し食べて下さい。そうすると免疫力も上がり、インフルエンザにかかってもひどくならないかもしれませんね。ウガイをして予防して下さい。


写真(2009年9月23日、ネパール)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全・育種),変更日:2009.10.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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