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今月の薬用植物
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2009年8月

イブキジャコウソウ(Thymus quinquwcostatus Celak)
シソ科(Lamiaceae)




『伊吹山 御花畑に感激し 晴れ後曇り禊雨 河童もずぶ濡れ 楽しいな』(河童)

暑中お見舞い申し上げます

 ようやく夏の日差しが出てきました。毎日暑い日が続かないと、野菜も果物も育ちません。秋の植物も元気が出ません。暑いですが、やはり夏は必要です。
 7月26日、熊本記念植物採集会の観察会にくっついて、初めての伊吹山に出かけてきました。出発の25日朝は飛行機が飛ばないのではと思えるような雨でしたが、伊吹山の植物観察の26日午前中は雨雲はどこかに行き、眼下には琵琶湖が見え、沢山の花々を観察することが出来ました。頂上で記念写真を撮影するころにはガスが出てきました。お弁当を広げ食べ終わったころから雨の気配を感じ、カッパを着たと思ったら10m先も見えないぐらいのスコール(禊の雨)です。下りのお花見はあきらめて最短コースを20分ぐらいかけて降り、バスに着きました。その後30分ぐらいで雨も止み、移動中はほとんど雨、車から降りる度に雨が止み、植物を一杯見てきました。伊吹山の頂上近くの岩場でトウキを見つけました。皆さんに踏んづけられても生きていました。

 今月の薬用植物は伊吹山の山頂で見つけたイブキジャコウソウです。伊吹山の名前がついた植物が30数種あるなかの1つです。シソ科ですので香りがよく、麝香 のような香りがすることから名前が付けられています。草丈は低く地面にはいつくばるように生えています。この香りが百里も届くようだというので百里香(ひゃくりこう)ともいわれます。類似植物でタチジャコウソウがあり、これはヨーロッパ原産で少し大柄の植物です。花期の茎葉をタイムとして百日咳、鎮痛にハーブ(薬用植物)として用いられます。また、タイムは肉料理などの調理用のスパイスに使われます。イブキジャコウソウは7月ごろの開花時に地上部を陰干し、風邪などには5g位をコップに入れお湯を注ぎ飲むことにより効果があります。また、風邪の予防にも良いようです。但し、希少植物ですので、山では採取しないで下さい。

 一日一回汗をかいて元気、笑って元気、腹8分目食べて元気、クーラー無しで元気、夏バテしないように、胃を元気にして下さい。


写真(2009年7月26日、岐阜県伊吹山にて)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全・育種),変更日:2009.8.3)
 
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, from 8, May, 2004



 
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