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今月の薬用植物
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2009年6月

キササゲ(Catalpa ovataG.Don)
ノウゼンカズラ科 (Bignoniaceae)




『雨恋し 今年の梅雨が いかほどに 花一杯の プランタンも 水恋じ』(河童)

 熊本では5月、平年の1/3位しか雨が降りませんでした。白川の上流の阿蘇谷では5月末に田植えは終りましたが、熊本平野はこれからです。白川の水もずいぶん少なくなりました。田植えが全部出来るかな。1/2減反しているので大丈夫だろうと悲喜交々。科学技術が進んだ今でも自然の力を待つしかありません。
 今月の薬用植物は、水を動かす薬木の”キササゲ”です。雨を降らせるわけではなく、民間薬で、果実(果皮と種子)を利尿薬として、腎臓病、浮腫、脚気などに単味で用います。また、写真右のアメリカキササゲも、アメリカの民間薬として利尿目的に用います。
熊本ではアメリカキササゲのことを”カタルパ”と言い、熊本市大江の徳富記念館に在り、有名で、5月中旬に花を咲かせます。大学の構内にも2本ありますが、大きすぎるのと下枝を切られているので、上の方でしか花を見ることができないのが残念です。
 花の大きさは、両方の写真を比べてもらうと分かると思いますが。アメリカキササゲが2倍ぐらい大柄です。人間と同じですね。
 西洋医学では、”利尿”、漢方・中医学では”利水”と言います。どのように違うのかな? ”利水”とは、水の多いところから少ないところに水を動かす、それでも余ったら利尿する(おしっこに出す)。西洋薬では咽の渇きを治してくれる薬はありませんね。漢方薬では”五苓散”等が有ります。科学的な理屈は良く分かっていませんが、大変良く効きますね。漢方薬と西洋薬の違いは、人の病態を見て薬を選び普通に戻すか、検査して病名を決め薬を選ぶかの違いかな。

 薬用植物園大移動計画を立案中。グランド側に、今の5倍ぐらいの温室、1.5倍の管理棟、同じだけの倉庫・車庫、標本園の圃場等を作ってもらい、北のエリアは建物用に開放する。これを補正予算を利用して、改組充実したいですね。細川藩蕃滋園由来の薬木がかわいそうですが樹木園はそのままにして。薬用植物園の将来・必要性を本気で考えて下さる人も少ないので勝手に考えています。空想の絵を描くのも楽しいですね。

写真(2009年6月2日、薬用植物園にて)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部附属薬用植物園
Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物・生薬学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、生薬学、漢方、民族植物学、環境保全・育種),変更日:2009.6.4)
 
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, from 8, May, 2004



 
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