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今月の薬用植物
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2008年6月


スイゼンジナ (Gynura bicolor DC. )
キク科 (Compositae)



『雨のあがり アマチャの華 青紫にはえ』(河童)

 今月は熊本の地名のついたスイゼンジナ(水前寺菜)です。沖縄県ではハンダマ(半玉)、ハルタマ、石川県ではキンジソウ(金時草)と呼ばれている野菜です。元々は東南アジア原産の植物ですが、いかにも熊本、水前寺の特産野菜に思えるところがにくいですね。スイゼンジナは”ひご野菜”に指定されています。ひご野菜は15種あり、”熊本京菜、れんこん、熊本ねぎ、水前寺もやし、水前寺菜、水前寺せり、熊本長にんじん、春日ぼうふら(カボチャの仲間)、熊本いんげん、ひともじ(細ネギの仲間)、芋の芽(サトイモの芽)、熊本黒かぼちゃ、ずいき(サトイモの茎)、熊本赤なす、水前寺のり”です。食べたこと有りますか?知ってましたか? ”熊本長にんじん”は私の住んでいる菊陽町の特産です。

 水前寺菜の葉は表は緑、裏は濃い紫色で、色合いがよいですね。葉の裏の色素は近ごろはやりのアントシアンで、熊本大学理学部の吉玉教授が構造を明らかにしました(私も構造解析をお手伝いしました)。抗酸化活性が強いですね。他にミネラル成分のカルシウムとマグネシウムがホウレンソウ、シュンギクに比べ高いと言われていますが、生育時期によってミネラル含量が大きく変動するようです。抗酸化はホウレンソウよりも高と言われています。しかし葉の裏の紫色の薄いものは抗酸化力も弱いので、買うときは葉の裏の色の濃いのを撰びましょう。

 中国ではスイゼンジナの全草を”観音見(guan yiu xian)”と言い、止血、解毒し腫れを消すなどの効果で、月経痛、出血、潰瘍(かいよう)などに用いると記されています。長引く潰瘍に良いとありますので、ストレス性の潰瘍になりやすい人は予防に試してみては如何でしょうか?

 スイゼンジナの食べ方は、柔らかい葉茎を熱湯に軽く通し、あえ物、炒め物などにして、少し食べるのが良いでしょう。いろんな料理方法を作って下さい。”ひご野菜”で売りだすためにはいろいろな料理方法、食べ方が必要です。皆さん料理方法を工夫してください。御報告をお待ちしています。

 飽食で食が毒になっている時代、食べ過ぎないように、食事は”楽しく、よく噛んで、まんべんなく食べて”ください。肥満の解消には、1)食事のバランス、2)心のバランス、3)運動のバランス、4)禁煙、節酒です。何事も”バランス”かな。

 ハナシノブが咲きだしました。お時間が有りましたら、街中の憩いの場所にお立寄り下さい。花、虫、蝶、鳥がいっぱい居ます。


 大学は未成年が1/3位いますので、タバコの自動販売機は撤去すべきです。大学キャンパス内も全面禁煙にすべきでしょう。 禁煙は愛です。  

 植物保護の園として”植物園の保全活動に対する国際アジェンダ”に登録しました。植物園自然保護国際機構(BGCI)から プレートを頂きました。 
 また、日本植物園協会の”植物多様性保全拠点園”でもあります。  NPO阿蘇花野協会に入り学生とともに草原再生を行っています。楽しいですよ。賛助会員募集中。 

写真(2008年5月29日、薬用植物園にて) (資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学、臨床生薬学、民族植物学、環境保全・育種),
変更日:2008.5.31)
 
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, from 8, May, 2004



 
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