熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2008年5月


コムギ (Triticum aestivum )
イネ科 (Gramineae)



『真夏日に 観察会で ぐったりに 暑さにまけじ カレーを食べに』(河童)

5月に入り暑いですね。3日の薬用植物観察会の日には植物園の温度計が32度に達しました。観察会に来て下さった方々、最後は声も出ませんでした。学生も余りの暑さで、体調不良続出、又涼しくなるかな??
 今月は、コムギです。コムギを食べたことはあっても、実際の植物を知らない、ましてや花がどんなものか見たことのない人が多いと思います。イネ科ですので、目立った花は咲きません。ご覧の通り目立たない2−3mmの長さの白い花です。イネも同じようなものですね。
 コムギは薬用として、膠飴(コウイ)の原料にします。小麦、大麦又は米の種皮を除いた種子を麦芽汁で糖化し、水飴状(デンプンを麦芽糖に分解)にして煮つめたものを膠飴といいます。
 膠飴は、甘、温の味、性質を有し、胃腸(漢方で言う脾胃)を調え強壮する、体液(津液)を補う潤す等の作用があります。そこで、漢方処方では、建中湯類の、小建中湯、黄耆建中湯、大建中湯、帰耆建中湯、当帰建中湯に配合されています。建中湯の”中”とは体の中心のお腹で、胃腸がありますね。これが弱って、胃腸虚弱、胃痛、腹痛、疲労感、便秘、微熱、眩暈(めまい)、アトピー性皮膚炎などが起ります。小建中湯は、”膠飴、芍薬、桂枝、生姜、大棗、甘草”を含んでいます。大建中湯は、虚、寒、痛の病証を治す作用が強く、膠飴、山椒、乾姜、人参と、温性〜熱性の山椒、乾姜、人参が含まれ、術後の腸閉塞の予防、改善に外科領域で用いられていますね。小建中湯は登校拒否の小学生にも用います。建中湯類は、体が弱って疲やすい(虚労)人に用います。
 今年はトウゴマが屋外で越冬し地上部の残った茎から芽を出し、木本になりました。熊本ではトウゴマは多年性木本ですね。唐辛子の仲間も多年性木本になるかもしれませんね。沖縄ではシマトウガラシは多年性です。

 阿蘇は連休中、人で一杯でした。ワラビ狩り、新緑を楽しむ人、しかしその足の下で、多くの植物が悲鳴をあげています。自然は強いのですが、その反面意外ともろいものです。サクラソウ、ハルリンドウ、キスミレ、ミツバチチグリ、キジムシロ、ヒトリシズカ等々の花達、これから花を咲かせようと準備をしている植物達をいたわって下さい。これからも阿蘇の草原で、長い間花野を観ることができるようお願いします。
 宮本記念館1Fで”阿蘇の希少植物野の花、草原再生の写真展”を5月19日まで行っています、見に来て下さい。

 植物園は、今月上旬は、アイラトビカズラ、シャクヤク、ダイダイ、ノイバラ、ネズミモチ、トウネズミモチが満開です。奇麗で、いろんな花々の香りがします。植物により花の香りも異なります、五感を使って感じて下さい。心がやすらぎます。

花爛漫、お時間が有りましたら、お立寄り下さい。花、虫、蝶、鳥がいっぱい居ます。


禁煙は愛です  

植物保護の園として”植物園の保全活動に対する国際アジェンダ”に登録しました。植物園自然保護国際機構(BGCI)から プレートを頂きました。  

写真(2008年4月、薬用植物園にて) (資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)
(薬用植物学分野)  矢原 正治(専門:薬用植物学,臨床生薬学,環境保全学),
変更日:2008.5.7)
 
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, from 8, May, 2004



 
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