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今月の薬用植物
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2007年12月

シクンシ(Quisqualis indica
シクンシ科(Combretaceae)



『サクラ咲く 12月のヒマラヤの桜 北風にゆれ(夢)』(河童)

 今月は寒くなりましたので,暖かい温室の中で花をつけている使君子(シクンシ)です。気温が足らないので実はつけないのですが,花は良い香りがします。薬用としては成熟果実を駆虫,胃の中のしこりを消すなどの健胃に用います。駆虫成分は右上の構造のようなアルカロイド(アミノ酸誘導体)のquisqualic acid(キスカル酸)です。この仲間に訶子[カシ,ミロバラン(Terminalia chebula)の果実]があります。訶子はSARSの予防薬として板藍根と共に重宝されました。
 植物名シクンシは,生薬名”使君子”に由来します。使君子は”天子からつかわされた使者のような薬”,すなわち”この植物は人々に大きな恵みをもたらす植物”と考えられていました。すごい植物ですね。
 原産地はインド南部〜その東のニューギニアの島々で,他の植物によくからむ常緑の蔓性植物です。花は桃の実のような甘い香りがします。花弁は写真のように5枚で,花の直径は3cm位です。花には,花柄のように見える長さ5cm位の細長い部分は萼が筒状になったものです。
 学名の"Quisqualis"は、ラテン語の"quis"(誰:who)と、"qualis"(何:what)に由来するようです。この植物の花の色が、写真では紅ですが,開花中に変化していくことからつけられたと言われています。

 寒くなりました,風邪も下痢も流行っています。風邪の予防に”葛根湯”,嘔吐下痢・激しい下痢に”五苓散”を1包ずつポケットに入れておくことをお勧めします。ゾクッときたらすぐ”葛根湯”,激しい下痢に”五苓散”(下痢を2〜3回した後で飲んで下さいね)。忘年会で飲みすぎた後の二日酔いの喉の渇きにも”五苓散”は良く効きます。

 良い年末年始をお迎え下さい。

12月のカレンダー(シキミ)  

禁煙は愛です  

植物保護の園として”植物園の保全活動に対する国際アジェンダ”に登録しました。植物園自然保護国際機構(BGCI)から プレートを頂きました。  

写真(2007年11月,薬用植物園温室) (資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)  矢原 正治,2007.11.29)
 
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, from 8, May, 2004



 
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