熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2007年9月

イチビ(Abutilon theophrasti MEDIC.)
アオイ科(Malvaceae)



『高山病 肺が痛み、手足が冷えて痺れくる 五行の教え 実感す』(河童)

 残暑お見舞い申し上げます。
 今年は暑かったので夏バテの出る季節です。キムチ鍋でも食べて胃の水を抜いて下さい。良く寝て疲れをとることも大事なことですね。

 今月の薬用植物が”イチビ”です。アオイ科ですが、余り大きな花が咲きません。果実は環状に配列し、種子は褐色で腎臓形、微毛があります。葉はハート型をしています。道端、荒れ地等に野生することも有ります。草丈は1−2mです。  薬用としては、中国で、種子を、赤白痢(消化器系に湿熱が渋滞し、腹部が痛み赤い便と白い便が混ざったような便で下痢するとき)に用います。また、葉を腫れに、全草を解毒、中耳炎、耳鳴り、関節の鈍痛に用いるようです。性・味はどの部位も苦・平です。成分は葉にフラボノイドのルチンを約0.2%含んでいる報告が有ります。
   日本では薬用としては用いないようです。毎年観に来られる人がイチビはどこに有りますかと聞かれるので、この小さいのがそうですよと言うと、1−2m位になるんでしょと訝しげ。栄養不足と土を作ってこなかったために30−50cm止まりでした。今年はようやく2m近くまで大きくなっています。これで自信をもってこれだと言えそうですが、その方は今年はまだお見えになっていません。
  
 今年も8/2〜19にブータンに行ってきました。トレッキングで4000mを超えた辺りから高山病にかかりました。ニンニク入りのスープで体を暖めて眠りましたが、どうにもならないので、馬で下山しました。鞍は荷物用のモノですので、お尻をこすって馬ズレをおこしてしまいました。昨年は会議で座りっぱなしだったので床ずれをおこしたのですが。今年の馬ズレは20日ぐらいして先週ようやく治りました。会議、帰りの車、飛行機のつらかったこと。残念ながらお尻の写真は有りません。
 今回の教訓です。ハードスケジュールで高山のトレッキングはしないこと。身体を高地に慣らしてからゆっくり登りましょう。植物調査はトレッキングと同じスケジュールでしないこと。高山病にかかったら速やかに下山しましょう。3500m位まで下りたあたりでだいぶ楽になりました。高山病で肺そして脳に水が溜まれば死に至ります。私は肺に水溜まる前だったようです。ブータンの救急の医療室と病室を体験してきました(お世話になったJICAのSさんに感謝)。実際に肺がだいぶ冷えて痛んでいるようで、現在清肺湯でだいぶ良くなりました。ただいま実験中
 こりずに、来年もブータンに薬用植物調査に行くぞと準備を初めています。ITMS, WHO, JICAの皆様、これからも宜しくお願いします。


9月のカレンダー(アサ)    

禁煙は愛です  

写真(2007年8月29日薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
矢原 正治,2007.8.31)
 
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, from 8, May, 2004



 
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