熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2007年8月

ゴマ(Sesamusm indicum L. )
ゴマ科(Pedaliaceae)



『ブータンの お花畑で 星を見る 4000 mの山は お花晴れ』(河童)

 今年もまた8/2〜19にヒマラヤです。バンコクーネパール経由でブータンに出かけてきます。10月にネパールから国費留学生で来るHari君にもカトマンズで会ってきます。

 ゴマは、中国”胡”の国(現在のイラン)から来たので胡麻の名がついています。白、黄褐色、黒の3品種があります。ゴマには上の構造式のようなセサミン(sesamin)等のリグナン類が含まれています。これらの化合物のお陰でゴマ油は抗酸化力が強いことが知られています。
 主に黒ゴマを薬用に用います。江戸時代の本草書に黒ゴマは腎に作用し、白ゴマは肺に作用する。共に五臓を潤し、血の流れを良くし、腸の調子を整えると記されています。ここで言う”腎”とは、泌尿器、生殖、ホルモン、神経、骨、骨髄、免疫力などをつかさどると考えられています。これらの状態を調えるのが胡麻ということです。胡麻は漢方処方で、桑麻丸[桑葉 (研末) 500g 、胡麻 (蒸搗(蒸してつきつぶす) 120g、これらの粉を水で丸剤にする] に処方され、 肝腎不足、 目眩(目まい)、便秘、皮膚乾燥、咳嗽(せき)等の時に1回5〜9gを用いるようです。また、火傷の特効薬の紫雲膏(紫根、当帰、ゴマ油、蜜蝋、豚脂)にゴマ油が用いられます。火傷に紫雲膏をつけると、痛みも和らぎ、ほとんど火傷の跡が残りません(一年に1〜2回熊本大学薬用植物園で作っています)。
 ゴマは薬というより、食の中で多く用いられます。煎りゴマ、胡麻和え、ゴマ豆腐等。あんパンに昔はケシの実でしたが、ゴマがパンに乗ることが多くなりました。健康に良いからといわれた頃からでしょうか? しかし最近ケシ粒のついたあんパンが増えてきました。食感が良いせいでしょうね。 中国では料理に多くの胡麻、胡麻油が使われています。日本の精進料理にもゴマ、大豆製品が多く使われますね。日本人の生活にあっていたのでしょう。しかし生活の中では、ゴマ・ゴマ油は菜種油に比べ高価なので沢山は使われていませんね。
 ゴマの花の写真はなかなか上手く撮れません。筒状で雄しべ雌しべが見えないので、外だけになります。虫が中まで潜り込んで、ごそごそやっているのを見つけ、中を見ようとすると急に虫が飛びだしてきてびっくりすることがありますね?
今年はスズメバチ、イラガの幼虫が大発生しています。先週アイラトビカズラ、アケビの葉に触っているとイラガの幼虫にチクリと一撃、いっぱいいるイラガの幼虫を見つけました。その時私はヤブガラシの根茎を絞って汁をつけます。私の友達はスベリヒユを、別の人はアロエの汁をつける人もいます。それぞれ違いますが、外での仕事中に被害に遭ったときの応急措置の雑草を知っておくとよいですね。皆さんは如何ですか?? 何か特効薬の雑草を用いる方はお教え下さい。

8月のカレンダー(タンジン)    

写真(2007年7月7日薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室) 矢原 正治,2007.7.31)
 
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, from 8, May, 2004



 
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