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今月の薬用植物
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2007年7月

ニガキ(Picrasma quassioidesL. var. latifolia Torrey et Gray)
ニガキ科(Simaroubaceae)



『歯磨きに 苦木使って 胃も元気』(河童)

 熊本で苦木と言えば、キハダです。よく道の駅などに苦木と書いたキハダの皮(黄柏)を売っています。たまに丁寧に苦木の説明書が入ったものも見かけます。観て苦笑いをしながら、店の人に変えてもらうようにお願いしています。地方名ではキハダはニガキで間違いないのですが。

 今月は、本物の”ニガキ”です。
ニガキは雌雄異株で、写真の花は雄花です。実がならない木ですけで、れっきとした皮、材をかじると苦いです。阿蘇ビジターセンターの野草園、ヤギ小屋の横に5m位に成長した木があります。たまに山で見かけるのですが、私は相変わらず幹、葉を見ても区別がつかない状態です。(頭ペンペン)
 名前の通りの、苦い成分は右図のような”quassin(別名nigakilactone D)”などで、酸化された変形トリテルペンの仲間です(難しいですね)。人は苦い・酸っぱいと聞くだけで、唾液が出ます。それと同時に胃などの消化液も出てきます。ですから薬用では苦味健胃薬というお薬になります。他にニガキの機能として、抗菌・殺虫作用があると言われています。健胃薬の代表格の”太田胃散”にも配合されていますね。ジャマイカ等ではニガキの材を使った”水飲みコップ”が売られているようです。水あたり、健胃に良さそうですね。どなたか行かれる人がいたらお土産に買ってきてくださると嬉しいですね。
 パキスタンで歯ブラシを見かけたことがあります。ネパールに青年協力隊で行っていた友人がニガキの枝の歯ブラシを毎日使っていたと言っていました。砂糖をほとんどとらないのとニガキハブラシのお陰で虫歯にはならなかったようです。皆さんも試してみませんか?(ニガキ歯ブラシの作り方:直径1cm位の適当な枝を20cm位に切り、端の1cm位をたたいて毛ば立て、ブラシに似たように整形して用います。ちなみに歯磨き粉はつけません)


7月のカレンダー(ゴボウ)    

写真(2007年5月20日 阿蘇ビジターセンター野草園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室) 矢原 正治,2007.6.29)
 
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, from 8, May, 2004



 
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