熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2006年12月

シキミ(Illicium anisatum L.)
シキミ科(Illiciaceae)


”『ノロウイルスの下痢には,まず”五苓散”を頓服で,軽減ずるぞ絶対に』.私は,夜に下痢が始まり3回飲んで朝までに下痢を止めました”(河童)

★写真 左:花,右:食用の大茴香(八角)と乾燥したシキミ果実★

   今月はシキミです.ラテン名のIlliciumは”誘惑”,anisatumは”香辛料のアニス”の意味があります.
 シキミは有毒植物ですが,薬にもなります.インフルエンザのシーズンです.SARSの特効薬として有名な”タミフル”(別名 Oseltamivir)の原料成分”シキミ酸”が最初に単離された植物がシキミです.シキミは有毒植物として有名で,昔は墓地などに植えられていました.果実は中華料理で食用に用いられる大茴香(八角)[写真右の左]にたいへんよく似ています.シキミの果実は熟すと甘く,間違って食べると痙攣を起します.有毒成分としてアニサチン等を含んでいます.
 今年の最後の薬用植物は有毒植物ですが,毒草も巧く使うと薬用にもなります.その例をシキミに含まれるシキミ酸より誘導したタミフルで取り上げてみました.タミフルの合成原料は八角です.中華料理に用いられる八角の市場には影響ないようで,八角の香りのついた西瓜の種を食べることができなくなるようなことがなくて良かったと安堵しています.
 シキミは昔はモクレン科でしたが,現在はシキミ科に分類されています.果実の形態の違いなどからで,モクレン科より進化していると言われています.
 当薬用植物園には2本有ります.普通は春に花を咲かせるのですが,11月の温かさに誘われ奇麗な花が数輪咲きました.他にもボケ咲きの常連のボケ,さらにトキワマンサク,スイカズラ,ヒゴタイ,サンザシ,ホトケノザ,クサボケ,シャクチリソバ等が花を付けました.しかし4日の初氷の寒さで植物は縮みあがっています.温室には暖房(10℃)が入りました.温室の中ではコーヒーの実が色付き始めました.寒い中12月に咲いている花は,サフラン,木立(コダチ)ダリア(皇帝ダリア),パンジー,サザンカ,アザミゲシ,トウワタで,まだまだ元気です.

 今年も早いもので終わりです.来年も一層良いことが有りますようお祈りいたします.益々の御教示,イベントへの御参加をお願いいたします.
来年の最初のイベントは,1月6日(土)11時から薬用植物観察会を行います.寒いでしょうね??    

写真(シキミ花 2006年12月3日 薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2006.12.4)
 
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, from 8, May, 2004



 
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