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今月の薬用植物
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2006年11月

オトコエシ(Patrinia villosa)
オミナエシ科(Valerianaceae)


”『砂かすみ 雨が恋しく 天仰ぐ』”(河童)

★写真 左:花,中:果実,右:全草★

 オミナエシは秋の七草の1つでよく御存知だと思います.しかしオトコエシは意外に知られていません.植物は1.5 m程に大きくなるのですが,花が白く数mmで小さくあまり目立たないからでしょうか?.10月8日の高森での観察会の時に,ラクダ山から月廻り公園に出るところの車道を渡る前に一本見つけました(花の写真).皆さんお昼ご飯だったので急いで公園に行ったので気付かなかったのでしょうか?
 薬用植物園にも10本ぐらい有ります.最初は,種を蒔いてようやく一本育ったのですが,近ごろは,その株から種子が落ち,毎年少しずつ増えています.オミナエシも少し増えてきましたが,日当たりのよいところは雨が降らないので今年は日焼けています.雨が欲しいですね.
 オトコエシの根のついた全草を白色敗醤(はいしょう),オミナエシを黄花敗醤と言います.種取りをしてセミナー室に置いていたら醤油の匂いがしています.敗醤の由来を実感しています.
 敗醤は,味は苦,性は平で,清熱し解毒,膿を排する等の効能あり,急に出た熱の解熱などに用います.成分にはイリドイド配糖体のロガニン(別名メリアチン)等が含まれています.
 漢方処方に,よく苡仁附子敗醤散(よく苡仁10,敗醤3,附子1 以上割合の粉末2gを水80mlで煎じ半量として煎液を頓服する)があり,虚証下腹部の化膿症(急性虫垂炎,限局性化膿性腹膜炎,肛囲炎等)に用います.  

写真(オトコエシ 2006年11月1日 薬用植物園及び9月18日高森(花)にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2006.11.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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