熊本大学薬学部
 
  トップページ / 今月の薬用植物
ワード検索
今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2006年10月

ニラ(Allium tuberosum)
ユリ科 (Liliaceae)


”『山ぶどう,木天蓼,サル梨,栗に柿,秋の味覚と草原の萱』”(河童)

 変更が大変遅くなりました.お待ちかねだったでしょうか??
 秋です,栗がイガごと落っこちてきます.阿蘇の草原の芒の穂も少し白くなってきました.狩り干し切りのシーズンです.晴天の中,8日は高森で薬用植物観察会を行いました.総勢144名の参加で,休暇村南阿蘇の散歩道,ラクダ山の草地,月廻り公園で昼食,阿蘇野草園と観察し150種以上の薬用植物に出会いました.15日はNPO阿蘇花野協会の管理草地の草刈りです.22日は刈った草集め,その草は,有機農法の茶園で下草に使用し,美味しいお茶を飲むことが出来ます.草刈りをし,3月に野焼きをした草地には,春にはキスミレ,フデリンドウ,フクジュソウ,ユウスゲ,ヒメユリ,ツクシトラノオ,ハナシノブ等が咲きます.今はリンドウが咲き,芒がなびいているでしょう.
 今月は,ニラです.ニラは夏バテの解消に秋になると良く食べます.ニラの花を見る機会も少なくなりました.白い可憐な花を咲かせます.薬用としては,種子を腰痛に,また小便の回数が多いときに30粒位をつぶして飲みます.強壮効果もあります.食用とする葉を,生薬名「韮」といい,性は温,味は辛で,帰経は肝,胃,腎です.効能は胃腸系を温め,気を巡らす作用が有り,滋血潤腸湯に配合されています.他に強壮,強精の効果があり,また下痢止めにも用います.血液をサラサラにする作用があると言われています.レバニラ炒め,ニラ玉,ニラ入りお好み焼き,味噌汁にニラ等美味しいですね.黄色のニラには脳の老化を防ぐ作用があると言われています.元気が出るのですが沢山食べると,呼気,体臭に臭いが出るのが少々何点です.良いからと言って多食は禁物ですね.
 昔の日本の食は,健康の素,また昔の料理方法には理が有ります.なんでも生食することだけは避けましょう.昔の料理方法には,植物の有毒成分を巧く除いていることが有ります.また,良く噛むと唾液のアミラーゼの働きで,糖がはずれ,味が変わってきます.楽しいですよ.五感を磨くことは,腎(中医,漢方の)の気を養うことになり,老化を抑えることが出来ます.お試しあれ!!
 


写真(ニラ 2006年10月4日 薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2006.10.12)
 
トップページへ戻る


, from 8, May, 2004



 
当ウェブサイトの著作権は、熊本大学薬学部及び記載責任者に属します。 掲載内容および画像などの無断転載を禁止します。
熊本大学ホームページへ 医学薬学研究部へ サイト案内