熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2006年8月

タンジン(Salvia miltiorrhiza )
シソ科 (Labiatae)


”『豪雨の後の猛暑に雑草ものびるのをお休み』”(河童)

 激しい雨が終わった後の猛暑で,少々バテ気味の矢原です.皆様はお元気ですか? しかし,セミだけは元気に鳴いています.例年暑い日中は休むのですが,長雨だったせいか,今年は暑い中,一生懸命相手を探して鳴いています.学生さんは試験真っ最中です.
 暑い中,シソ科の植物の花が咲いています.今月は,その中で青色の花を咲かせる『タンジン』を紹介します.根を生薬名『丹参』と言います.中国では丹参注射液が有名です.
 え!,生薬を注射剤に?そのまま用いるのですか?との質問が出そうですが,事実です.エキスを用います.毛沢東の命を救ったのも生薬のエキスの注射剤です.昔は多用していたようですが,安全性の観点から最終治療にしか使用しない規則になったと昨年聞きました.
 26年前に丹参から得られるLithspermic acid B, AのNMR(核磁気共鳴スペクトル)の測定を上海の方から依頼されたことがあります.その時に初めて,生薬の注射剤が中国で用いられていることを知りました.
 丹参の性・味は,微温・苦.薬効は,血を活かし正常にする,心を安らげる,膿を排泄する,止痛する等で,心臓血管系に対して有効とされ,心筋梗塞,心血管障害に用いられる,冠心II号方(赤芍,川キュウ,紅花,丹参,降香)に配合されています.
 熊大薬用植物園には無かったのですが,株を分けてもらい,少しずつ大きくなっています.来年は花を咲かせてくれるのを楽しみに育てています.

 暑いと冷たい水を飲みすぎます,又,クーラーをいれたまま寝て,寝冷えをします.胃が弱ると,車のエンジンが駄目になったのと同じです.良くチューンアップして下さい.暑いとき胃がつかれたら,たまにはキムチ鍋や四川火鍋で,汗をかきましょう.しかし度は過ぎないように.


写真(タンジン 2006年7月27日富山大学薬用植物園にて撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・附属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2006.7.31)
 
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, from 8, May, 2004



 
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