熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2005年10月

しおん(Aster tataricus)
きく科 (Compositae)


可能な方はご支援下さい.
パキスタン大地震支援ホームページ  

注意:『ダイエット食品にセンナ枝が入っているものがあります.下痢が止まらないことがありますので、アロエ同様気を付けて下さい』

『草波に酔う阿蘇に風ふく紫苑咲き』(河童)

 阿蘇は秋の気配があちこちに感じられます.カルデラの水田では稲刈りも最盛期を迎え、稲藁を丸めて冬の牛の餌作りも盛んです.濃紫色茎の里芋のズイキで作るアカド漬のつけ込みも始まりました.10月9日、16日はNPO阿蘇花野協会の草原の草刈り、草集めです.来年春に花野が一層綺麗に観えるようになることを願って行います.刈った草を薬用植物観察会にご参加の方が持っていって下さいます.いろんなことで助けて下さいます.(人に会い人に助けられ人に感謝)
 今月の薬用植物は南阿蘇等に多く生息する”シオン”です.環境省主催の7月の草刈りではだいぶ刈ってしまいましたが、元気で花を付けていることでしょう.シオンの根および根茎を紫苑(シオン)といい、鎮咳、去痰などの目的で漢方処方に配合されます.地下部にはサポニン(Astersaponin Ha等)が含まれており、これは薬効を裏付ける化合物です.紫苑の味は辛・苦、性は温、帰経:肺経となっています.また薬理作用として、止咳化痰、去痰作用、抗結核作用、抗菌・抗ウイルス作用、利尿作用が報告されています.民間薬では余り安易に用いないほうがよいでしょう.もし民間薬として使用するときは薬剤師さんにお尋ねください.
 西洋薬には身体を温める薬が見つかりません.年を取ってくると基礎代謝が減ります.それに薬を沢山飲んでいると一層体温が下がる傾向にあるのではないでしょうか?体温が0.5度下がると沢山の弊害が起こることが判ってきています.昨今、若い女性、子供、男性でも冷え性の方が増えています.漢方薬には身体を温める処方があり、表を温めるもの(皮膚を温め発汗する等)、身体内部(裏)から温めるもの等があります.近年生活習慣病として冷え性があげられるようになりました.血液の循環が悪くなると、臓器の機能が低下し冷えが起こります.それによりいろいろな病気が併発されます.冷えはストレスからも起こります.食事療法で治すことも可能ですが、ひどくなるとやはり漢方薬がよく効きます.漢方専門の薬剤師、医師に相談され、病名ではなく”証”をきちんと診てもらい早めに治療をしておくことが必要です.
 笑うとお腹が動きます.横隔膜も動きます.そうすると内蔵が温まります.笑うことは腹式呼吸を激しくするようなものですね.内蔵まで運動不足気味の現在、笑いは冷えの解消等を含め、いろんな病気の改善に役立つのだと思います.”笑う門には福(健康)来る”


★★センブリが大きくなってきました、 ”皆さんがセンブリを採取するときには種子を落して取って下さい.”★★
種子ができる11月になっても効きめは変わりません.
今の採取状態ですと、阿蘇のセンブリがここ数年で無くなります.
人々が健康でいるためにも自然が健康でいて欲しいです.御協力下さい.


写真(矢原の畑  2004.10. 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2005.9.30)
 
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, from 8, May, 2004



 
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