熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2005年9月

いちょう(Ginkgo biloba L.)
いちょう科 (Ginkgoaceae)


注意:『アロエの入った健康食品の中には下剤の成分が含まれることがあります.下痢が止まらなくなることがありますので、飲食には十分注意をして下さい(すぐ飲食を止めて下さい).又アロエの仲間を健康に良いからといって安易に飲食すると激しい下痢をおこすことがありますので注意して下さい』

『台風で イチョウの実 大地に落ち 人を待つ』(河童)

 東京大学小石川植物園にイチョウの古木があります.イチョウの精子が見つかった雌の木です.何故雌の木で精子が?それはイチョウの雄木の花粉が雌木の花に受粉しそれが受精するときに花粉から精子が出来、子房に移動するからです.また,その後,イチョウに有るのならソテツにもあると、イチョウの精子の第一発見者が考え宮崎に行き同じように精子を見つけました.そのソテツの木が正門の左横に植えられています.一度時間がありましたら行ってみて下さい.時代劇に良く出てくる小石川薬用植物園の跡に,薬用植物も沢山あります.
 今月の薬用植物はイチョウです.イチョウの別名を鴨掌樹(オウショウジュ),鴨脚(オウキャク)等ともいいます.イチョウの種子の種仁(白果)を,民間薬,中国でも,鎮咳に用います.他に中国の中葯大辞典には,抗結核薬,抗菌作用等が記されています.白果の性質味は,平,甘苦渋,有毒とされています.また根は遺精(=失精、遺泄)を治す,樹皮は灰にして牛皮銅銭癬の治療に用いると書かれています.イチョウの葉は白果葉といい,心血管等の血管に対して拡張等の作用が有ることが報告されています.20年ぐらい前,ドイツでイチョウの葉のエキスが四肢の末梢血の改善,脳血流改善等に有効とされ、アルツハイマー予防等の薬としてヨーロッパでは販売されています.日本では健康食品として販売されていますが,ヨーロッパで開発された製品は,イチョウ葉を有機溶剤で抽出し、その中のフラボノイド等の画分を用いています.イチョウの葉には微量ですが果肉のアレルギー成分(Ginkgoic acid)が含まれています.良く売られているイチョウ葉茶は乾燥葉をカットした物でアレルギーを持った人が飲むとひどい症状を起すことがあるので,きちんとしたイチョウ葉エキスを飲用することをおすすめします.
 銀杏(イチョウの実)を多量に食べると中毒により痙攣すると記してあり、北海道などでの中毒例があります.これはビタミンB6に構造が類似したGinkgotoxinが、GlutationeをGABAに変換する酵素を阻害するからです.治療にはビタミンB6の投与が効果的です.多食して痙攣を起こした場合すぐ医者に診てもらいましょう.治療が遅れると死ぬことがあります.

 ☆遺精:失精あるいは遺泄ともいます.夢をみて遺精するものを”夢精”といい、昼間精液が自然に滑り出るものを”滑精”といいます.☆

★★センブリが大きくなってきました、 ”皆さんがセンブリを採取するときには種子を落して取って下さい.”★★
種子ができる11月になっても効きめは変わりません.
今の採取状態ですと、阿蘇のセンブリがここ数年で無くなります.
人々が健康でいるためにも自然が健康でいて欲しいです.御協力下さい.


写真(味噌天神、熊本学園大  2004.11 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)
・矢原 正治,2005.9.8)
 
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, from 8, May, 2004



 
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