熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2005年7月

やまぐわ(Morus bombycis)
くわ科 (Moraceae)


『桑の実を食べて思いはアキアカネ』(河童)

 阿蘇の草原の植物の監視に出かけた折、見つけました。少し湿ったところにヤマグワの大きな木があり、実をタワワに着けていました。さっそく皆で食べました。甘くて懐かしい味です。「食べ過ぎると下痢するよ」と長澤さんの声。確かに子供の頃食べ過ぎてお腹を壊したこと、赤とんぼのことを思い出しました。今年は暑かったのでアキアカネが校内を余り飛んでいませんでした。7月は牧野で会えるかな?
 クワの根皮は、生薬名を桑白皮と言い、肺の炎症を鎮め喘咳に、又水滞、水腫を除いてくれます。民間薬では高血圧の予防等に用います。若葉は便秘、高血圧の予防に、果実は疲労回復、強壮に、又、中国では乾燥した実を桑椹(そうたい)と言い、肝臓や腎臓の機能を促進する作用があります。「xxがカンジン(肝腎)」と言う言葉はここから来たのでしょう。
 成分としては、桑白皮よりフェノール性化合物が多く単離されています。例えば図のような構造のMulberrofron C(立体構造式はこちら)等が有ります。これは生体内でDiels-Alder反応が惹起し生成した化合物です。
 桑の実を食べた後、始めてツクシマツモト、”ハナシノブが野生で咲いているのを見ました。やはり綺麗ですね。今はユウスゲが満開だと思います。
 緒方さん、金子さん、ふれあい農園の佐藤さんが阿蘇の草野にいきセンブリ、ヒゴタイの調査してきました。センブリも発芽し小さなロゼットになっているようです。
★★ ”皆さんがセンブリを採取するときには種子を落して取って下さい。”★★種子ができる11月になっても効きめは変わりませんので。今の採取状態ですと阿蘇のセンブリがレッドデータブックに載ることになるでしょう。人々が健康でいるためにも自然が健康でいて欲しいです。

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 樹木の下に見学コースを作りました。足元に色んな植物が生えていますので、上ばかり観ないで、足元にも気を付けて見学して下さい。御協力をお願いいたします。

 NPO法人「阿蘇花野協会」(潮谷愛一理事長)が発足し、野焼き、盗掘防止パトロールを兼ねて観察会を行っています。”NPO法人「阿蘇花野協会」に参加されたい方々は、矢原まで御一報下さい。(年会費3000円、学生1000円) 

写真(阿蘇  2005.6.19 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)(薬用植物学研究室)・矢原 正治,2005.7.1)
 
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, from 8, May, 2004



 
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