熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2005年4月

アオキ(Aucuba japonica)
みずき科 (Cornaceae)


『サクラの花 ふり舞いあがる ヒゴタイの芽に』(河童)

 桜があっという間に満開です。ヒカンサクラの花びらが、レンギョウ、サンシュユ、ザイフリボク、ユキヤナギ、ボケ、シロバナタンポポ等の上に降り注いでいます。
今月はアオキです。立田山に行くと沢山見られます。雌雄異株で、写真は雌木です。独身なのでまだ実をつけたことがありません。アオキの別名にアオキバ、サンゴノキ、ミソブタ、イボシ、ヤマダケ等が有ります。ラテン名は”アオキバ”からきたものです。漢名を桃葉珊瑚(葉が桃に似、赤く熟した実が珊瑚に似ているので)と言います。季題は、青木の実から冬で”寒中や紅さしそめり青木の実”の句もあります。日陰に生息し花は桜の時期で小さく色も茶紫ですので目立ちません。写真の花弁の周りが白く見えるのは、微毛がストロボで光っているからです。
 民間薬として健胃剤でしられる「陀羅尼助(ダラニスケ)」は、アオキの葉、キハダ、センブリ等が入っています。薬用に葉を弱火であぶって火傷、切り傷などに患部に貼り用います。
 構造式のAucubin(アウクビン)は種子に20%(生で)近く入っています。13C-FT-NMR(炭素13 フーリエ変換-核磁気共鳴装置)が全国の薬学部に先駆けて広島大学総合薬学部に導入されたとき、種子を直接測定し、奇麗なデータを得たことを思い出します。その後、薬用ニンジンの根の低温処理で砂糖(蔗糖)が増えることを同じ手法で山崎先生と明らかにしました。遊びながらの実験です。
 現在では。、試料が1 mgも有れば色んなデータが得られる時代。当時(30年前)は10 mgで2日ほど測定し13C-NMRのデータがかろうじて測定できた時代でした。色んなものが豊富な時代、工夫しなくてもデータは出ますが、何故か貧しさを感じます。貧しくても夢があった時代と異なり、物が豊富な今の学生さんはどのような夢を持っているのでしょうか。如何ですか???
 新入生の皆様、薬用植物(植物)の楽しさを少しでも感じてみてください。


写真(花は 家の庭 2005.4.2、実は 2003年3月 東京上野 撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)・矢原 正治,2005.4.6)
 
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, from 8, May, 2004



 
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