熊本大学薬学部
 
  トップページ / 今月の薬用植物
ワード検索
今月の薬用植物
バックナンバー薬用植物園

2004年8月

さいようしゃじん (Adenophora triphylla)
ききょう科( Campanulaceae)


『セミしずく 雨だと思い 顔を上げ』(河童)
『 雨乞いの 蓮の蕾を たたく雨』 (おおはしゃぎの河童)

 今月はサイヨウシャジンです.草原の草むらに可憐な釣鐘状の花を咲かせます.食用植物、薬用植物です.
生薬名: 沙参(しゃじん)、薬用部分:根、 採取時期及び調製方法:10月ごろ、地上部が枯れ始めるころに根を堀り採り、軽く土を落す程度水洗し、小さく刻んで日干しで乾燥、湿気やカビがこないような容器に入れ冷暗所に保存します.利用方法:咳止め、去痰、強壮に、乾燥したもの1日量5−10gを水400cc位で半量になるまで煎じ、1日3回に分けて服用するとよいでしょう.苦みやえぐみがありますので、ハチミツなどの甘味を加えると飲みやすくなります.熊本では、阿蘇の外輪山、阿蘇山などの日当たりのよい山野の草原や道端に自生する多年草です.春の若芽は山菜の王者で、あえ物などにすると旨いといわれています.秋には青紫色で釣鐘形の小花を多数つけます.サイヨウシャジンは細葉沙参と書き、中国では輪葉沙参と呼ばれています.図鑑などに載っている植物に、サイヨウシャジンによく似たツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica)があります.
 写真は、九重の雨ヶ池付近での撮影です.7月30日に薬用植物園のメンバー5名で久しぶりに九重に出かけました.長者原ー雨ヶ池ー坊がつるー法華院温泉(昼食)ー北千里ースガモリ越ー長者原のコースです.昼のビールと運動不足で足がつるなど一番弱かったのは小生でした.他の若い人達は元気一杯でした.暑さのせいでしょうか、花が少なかったようですが、学生さんにとっては九重の生きた植物を観るのは初めての機会で、図鑑と比較しながら楽しめました.
 ネパール、パキスタン、タイの植物観察、薬用植物シンポジウムに8月後半〜9月14日まで出かけます.もしかすると9月の今月の薬用植物の更新が遅くなります.行く前に間にあえば、誰かに入れ替えをお願いして行きます.うまくいくと10月は西ヒマラヤの薬用植物が入れられると思います.お楽しみに待っていて下さい.

 難波恒雄先生(富山医科薬科大学名誉教授)が7月24日に亡くなられました.ネパール等を愛されていました.昨年4月に東京でのヒマラヤ地域薬用植物シンポでバッタリお会いした時は、来月ネパールに行くんだとお元気で言われておられました.御冥福をお祈りいたします.


 お近くにおいでの折りは、”心のやすまる”薬用植物園(味噌天神からすぐ)にお立寄り下さい.お待ちしています.
 暑さを除けのため雑草もたくさんはえていますが、雑草の中にも薬草があります.
御来園の時は、御来園簿にお名前を御記入下さい.御協力をお願いします.

写真(2004年7月30日 九重の雨ヶ池付近)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)・矢原 正治,2004.8.2)
 
トップページへ戻る


, from 8, May, 2004



 
当ウェブサイトの著作権は、熊本大学薬学部に属します。 掲載内容および画像などの無断転載を禁止します。
熊本大学ホームページへ 医学薬学研究部へ サイト案内