熊本大学薬学部
 
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今月の薬用植物
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2004年7月

ひおうぎ(Belamcanda chinensis)
あやめ科( Iridaceae)


『ヒオウギの花 太陽に向かって 風車』 字余り 河童 
 セミが鳴きだしました,心なしか数が少ないように感じます.暑さのせいでしょうか?7月に入り,真夏日が続いています.4日に久しぶりに雨が降りました.植物にとっては恵みの雨です.今月は太陽に向かって咲く風車のような花をつけるヒオウギです.中国で射干(ヤカン)といいます.秋につける黒い実(種子)を烏,葉が扇の様に並ぶので烏扇(カラスオウギ)とも呼ばれました.平安時代には扇が檜の薄板で作られたことから,檜扇(ヒオウギ)よ呼ばれるようになったといわれています.万葉の歌の中に”ヌバタマ”と言う名前でもでてくるようです.
 薬用では根茎を用い,秋(9月頃)に根茎を採取し,水洗いして数日日干しにして乾かし用います.扁桃炎,去痰には,一回5−10gを水300ccで1/3位に煎じ服用します.射干の薬味、薬性は苦、寒.火を瀉し、毒を解し、肺を清め、痰を消し、咽喉の痺痛の要薬として、金匱要略の射干麻黄湯(射干、麻黄、生姜、五味子、細辛、紫苑、款冬花、大棗、半夏)等に用いられています.

 家の庭の喜樹の横にヒオウギが咲いています.日陰にはチクセツニンジンの果実が赤い実をつけ,雑草の中にカワラケツメイ(種子を決明子)を見つけました,鉢を持ち上げるとムカデが大きくなっています.ヒマラヤサクラ,サクランボの葉にイラガがついていました.毒の毛で痛い目にあいましたので,さっそくヤブガラシの根茎を掘ってもんでつけると痛みが引きました.私の特効薬です.ナガサキアゲハが飛んでいます.この時期いろんな生き物が元気がいいですね.元気が無くなっているのは人間だけでしょうか? 胃腸を弱らせている人が増えてくるシーズンです.原因は,冷たいものの摂りすぎ,クーラーで冷やしすぎ等.胃が冷えて水が溜まり動かなくなっているせいです.夏風邪,夏バテの原因になります.巧く胃の水をさばくことが大切です.たまには汗をかいて下さい.試しに,平胃散,五苓散で水をさばくか,または冷え性の人は人参湯等で胃を温めて元気にするとよいのではないでしょうか.

 お近くにおいでの折りは、”心のやすまる”薬用植物園(味噌天神からすぐ)にお立寄り下さい.お待ちしています.
 暑さを除けのため雑草もたくさんはえていますが、雑草の中にも薬草があります.
御来園の時は、御来園簿にお名前を御記入下さい.御協力をお願いします.

写真 ヒオウギ(2004年7月4日 家の庭)
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants)・矢原 正治,2004.7.5)
 
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, from 8, May, 2004



 
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