熊本大学薬学部
 
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2003年7月

あじさい (Hydrangea macrophylla)
ゆきのした科(Saxifragaceae)


『シーボルトも 惚れこがれし おたくさの花』(河童)
 薬は毒,毒は薬,健康食品と薬が何故違うのか,もう少し真剣に薬剤師が考えるべきではないでしょうか.安易に健康食品と同じように扱うべきではないのではと思います.
 今月の薬用植物は,6月に最盛期の”アジサイ”です.アジサイは,園芸品種です。ガクアジサイの改良種で,日本で品種改良されたものです.アジサイの色の成分は,上の構造式でしめされます。意外とシンプルですね。これにアルミニウムイオンがキレートすると,青色が濃くなります。pHで色が変わるわけではないようです。
 アジサイを,シーボルトが日本の奥さんの名(楠本滝)を付け”Hydrangea otakusa”と命名し,ヨーロッパに紹介しましたが,現在はその名前は使われず”Hydrangea macrophy”が用いられています.シーボルトは,オランダのプラントハンターでしたので,多くの動植物,本をオランダに持ち帰っています。さらに地図まで持ちだそうとしています.日本では大変評価されていますが,本国での評判は如何なものだったのでしょうか?
 それはさておき,アジサイは,花を解熱の目的に服用(乾燥花5ー10g位/1日)することがあるようです.飲んだ方が居られたら効果のほどを御一報下さい.
 アジサイの花は,散房花序で,密に多数の花を開きます。花はほとんど装飾花からなり,4−5個(写真は4個)ある萼片は大型で,花弁状の青紫色〜赤色をして大変美しく花びらと思われたいます。本当の花弁は非常に小さく4−5個(写真は4個)あります.雄しべは10本以内(写真は8本),雌しべは退化しています。花柱は2−3本です.
 ”あじ”は”集まる”,”さい”は”真の藍,花が青い”で,沢山集まって花が咲くという意味のようです。私はアジサイの原種で,山で見るガクアジサイの方が可憐で好きです.

 夏風邪のシーズン,寝冷えで,鼻水が出て微熱が続く時は,柴胡桂枝乾姜湯。昼間冷たいものを飲みすぎ,胃が冷え水が溜まり,中から冷えて鼻風邪を引いたときは,五苓散,香蘇散,平胃散が良いようです。葛根湯は表面が冷えて風邪を引いたときに使用しますので,クーラーをつけっぱなしで引いた風邪には良いのかもしれません。近くの水前寺の薬局のT先生にお教えをこいました。なんだ胃薬を風邪薬になどと言わずにお試し下さい。

まだ,アジサイが元気な時期です。これからの真夏の太陽にはえるように,薬用植物園も,薬草の説明のラベルを替えてみました。レンギョウのラベルを紹介します。花の写真入りです。金子さん,緒方さんが撮影した写真を用いて作られました。全部とはいきませんが,評判が良ければ徐々に増やしていきたいと思っています。御意見を頂ければ幸いです。

写真2003年6月21日(熊薬構内にて)撮影
(資料,写真・文章責任 薬学教育部・付属薬用植物園(Medicinal Botany and Ethnobotany )(Molecular Evaluations of Medicinal Plants),・矢原 正治,2003.7.2)

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