熊本大学薬学部
 
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2003年4月

れんぎょう(Forsythia suspensa)
もくれん科(Oleaceae)


『なにを待つ じぶんを生かす ことをする』(河童)
 春になるとレンギョウの黄色い花が,2,3個咲き始め,いつの間にか満開の黄色い帯ができる頃は,春真っ盛り,そして緑の葉が茂るころ,春が終り,熊本特有の梅雨が始まります.
 御入学おめでとうございます.期待を胸に入学してこられた諸君,自分を生かすことを探して,実行してください.指示待ち,期待して,待っていても何も降ってくるわけではないので,期待外れに終わるだけです.
 今月の薬用植物は,レンギョウです.薬用植物園には,レンギョウの他に,チョウセンレンギョウ,シナレンギョウの3種類が植えられています.レンギョウは体育館の桜の下で,細々と生きています.本当は日当たりのよいところを好む,木本(木)です.
 生薬は果実を用い,連翹(レンギョウ Forsythiae Fructus)といいます.漢方では,消炎,利尿,解毒,排膿等を目的に,荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウ湯),防風通聖散(ボウフウツウショウ散)等約10処方に配合され使用されています.性味は,苦,涼で,帰経は,心,肝,胆に作用し,咽痛,皮膚発疹,化膿,炎症のできもの,るいれき,小便の出渋りなどを治します.
 成分としては,上の構造式に有るリグナン類のpinoresinol, pinoresinol-glucoside, arctiin, phillyrin等,フラボノイド類のrutin,フェニルプロパノイド類のforsythiaside等多くのアロマティック(芳香族)成分を含んでいます.
 薬用植物,ハ−ブ,生薬(薬用植物,鉱物,菌類,動物よりなる)等は,夫々が多くの成分を含み,相加,相乗的,場合によっては相殺的な作用を示します.漢方薬,アユルベ−ダ等は,これらの生薬を組み合わせて用います.これにより,一層複雑な作用が発現します.効果は経験的に分かっているのですが,各成分の相互作用,何故二つの生薬を混ぜて用いると作用点が変るのかなど解明されていない部分が多くあります.
 また,昨今ブ−ムのサプリメント(機能性食品,健康食品)も,効果があるからといって,多く取りすぎたり,いくつもの製品を飲みあわせると,副作用がでる可能性が増えます.患者さんがお医者さんに,このような健康食品を摂って良いのでしょうか? 癌にはXXが良いと聞きましたが,飲んでよいでしょうか?と質問しています.医者は,この質問を薬剤師に問い合わせてくることが多いですね.このように最近は,通常の調剤業務のほかに,サプリメント,ハ−ブ等の作用に関する照会等も多くなってきたようです.
 薬剤師国家試験に生薬学は3−5問程度しか出ないので,学生時代に勉強をさぼると,卒業後苦労しますので,若いうちに勉強しておいてください.
 たまには薬草園に足をはこび,実際の植物を見てください.また,植物名,属する科名のラテン名などを覚えられるのも,若いうちのようです.おおいに脳を活性化してください.

写真2003年3月29日(長崎大学薬用植物園)にて撮影
(資料,写真・文章責任 薬学部附属薬用植物園担当(園長),・矢原 正治,2003.3.31)

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