熊本大学薬学部
 
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2003年2月

すいせん(Narcissus tazetta L. var. chinensis Roem.)
ひがんばな科(Amaryllidaceae)


北風に揺れて花咲く雪中花(河童)(寒さにふるえて字余り)
 1月終りの寒波で阿蘇の山々は真っ白です.久しぶりにふもとまで白くなったのを見ました.今年は寒いですね(本当は平年並ですか).しかし,北風の中,例年通り,梅,ツバキ,サザンカと共にスイセンが咲いています.花は太陽に向かった南向きが多いですね.香と,色と,温かさで虫を呼ぶのでしょう.スイセン属は多年性で,鱗茎をもち,葉は平たく細長く,鱗茎から出た花茎の先端に包葉に包まれた6枚の花被をもつ1〜数花が横向きに咲きます.中央部に皿状の副花冠があります.薬学部構内では1月から2月にかけて咲いています.種子が出来ないので,鱗茎で増えます.
 ラテン名のNarcissusはギリシャ神話で美少年と言われるナルキソスNarkissosからきたとも言われていますが,ギリシャ語のnarkeという『麻痺させる,昏睡,無気力』意味の語から由来とされています.スイセンの鱗茎は神経を麻痺させるアルカロイド(Lycorine等)が含まれています.narkeは英語の麻酔剤narcoticの語源です.tazzetaはイタリア語の小さなコ−ヒ−カップの意味です.副花冠の形が似ているからでしょうか.そんな思いでよく観るとメリ−ゴ−ランドのコ−ヒ−カップに似ている夢のある花です.
 H11年11月に紹介しましたヒガンバナと同じで毒草ですが,薬用(外用薬のみ)にも利用します.鱗茎を金属以外のおろし器ですりおろし(アルカロイドが鉄,アルミ等とくっつき効力が弱くなります),布で搾った汁に小麦粉を入れねり,腫れ物,肩凝りの患部にはります.ただし皮膚の弱い人はかぶれることがありますので注意が必要ですね.
 スイセンの別名と方言を紹介します.別名:雪中花(セッチュウカ),方言:チチロ(長野),ショ−セン(三重),シ−セン(岡山,長崎),キンデバナ(鹿児島)などがありようですが,皆様の地方では何と言いますか.方言,その地方の食文化等の衣食住はその気候風土にあった文化です.何故それが文化として定着し,また変遷してきたかを知ることが,これからの予防医学,セルフメディケ−ションを行っていくうえで必要なのではないかと感じています.読まれた皆様のご意見をゲストブック又はメ−ルでお寄せ下さい.
 2月24日の「初級漢方とハ−ブ」のセミでは中黄膏を皆で作ることにしました.

写真2003年1月29日撮影
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学・創薬 基盤分子 設計学講座・矢原 正治,2003.1.31)

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