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2002年6月

くらら (Sophora flavescens)
まめ科 Leguminosae


瑠璃色の蝶をよぶや苦参草(河童)
 クララと熊本でいうと,オオルリシジミ(シジミ蝶属)と出てくる.今は既に幼虫になり,葉を食べていることだろう.こんなに苦い草を良く食うなと思うが,生物が生きていく手段として,大変良い方法であると感心する.5月末〜6月にかけ緑黄色の目立たない穂状の花をつける.草丈1−2mになり,阿蘇の草原,豊肥線沿いに見られる.放牧地では,牛が食べないので,ワラビと共に残っている.今年は狂牛病騒ぎのせいか放牧された赤牛の頭数が少なく寂しい.
 クララの由来は,根を噛るとクラクラするぐらい苦いことからきたようである(地上部も苦い)
 クララの根を苦参(クジン,Sophorae Radix)と言い,苦,寒,清熱燥湿,利尿等の目的で,三物黄ゴン湯(乾地黄黄ゴン苦参:滋陰清熱,化湿に.手足のほてりを取る効果があり,皮膚湿疹等に用いる),消風散などの漢方薬に配合される.また,民間薬として,湿疹,寄生性皮膚疾患,苦味健胃,口内炎,細菌性下痢,あせも,ただれ等に外用,内服薬として用いる.成分としてはマトリン(matrine),オキシマトリン(oxymatrine)等のアルカロイドを含む.アルカロイドは苦味の強い成分であり,苦味健胃薬として用いる黄柏,黄連もベルベリンというアルカロイドを含む.マトリンの中毒量(LD50 370 mg/kg経口)投与により運動障害,脊髄反射亢進,痙攣,つづいて麻痺,呼吸停止をもたらす.但し,薬用の時は多量には用いないので大丈夫である.また,マトリンには,抗腫瘍活性,免疫低下作用,アメ−バ−原虫の運動停止,組織破壊等の報告も有る.オキシマトリンは,抗潰瘍作用,胃酸分泌抑制,胃運動の抑制効果がマトリンより強い.また,苦参の煎液は皮膚白癬菌,真菌に対し抗菌活性をもつ.

 忙しい中で,どのようにして健康維持をするかが大切です.無病でいたいのですが,これだけ多くのエネルギ−を使っているとその分ストレスも増大します.サプリメント(健康補助食品)が氾濫するのもわかるのですが,本当に身体を補助してくれているのでしょうか??? 多いに疑問があります.例えば,痩せますよといったモノは,健康補助食品なのでしょうか? 日本人の中でダイエットをする必要のある人がどのくらいいるのでしょうか.肥満遺伝子は人間が生き延びる手段として遺伝子情報の中に取り入れたものですが,これだけ食が氾濫する場所にいると邪魔者にされがちです.欧米の肉食民族にくらべ,農耕民族の日本人はそんなに肥満にはならないはずですが,アメリカの戦略(食民地)で洗脳され,痩せるべきだと思い込まされているようです.すごいですねメディアの力は.日本食の野菜の半分はハ−ブ(薬草)ではないでしょうか? 先人は(中国からの文化は)食生活の中で,考え,未病予防をしていたのではないでしょうか? それを崩したのが戦後?から(明治維新から)です.21世紀に入り,日本人は自信をもって戦前までに築いてきた日本の食,畳,木,水の文化を世界に還元する時ではないでしょうか.押し付けでなく,融和させて.日本人の得意技です.西からの全ての文化を取り入れ融和した,黄金の国ジパングですから.未病予防研究会in田舎熊本に参加する人募集中.

地黄、黄岑、苦参のリンクについては(株)ツムラより許可をいただきました.
写真2002年5月他撮影(矢原)
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学・創薬 基盤分子 設計学講座・矢原 正治,2002.5)

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