熊本大学薬学部
 
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2002年5月

かんさいたんぽぽ (Taraxacum japonicum)
きく科 Compositae


蒸し暑い五月日和に綿毛飛ぶ(河童)
 蒸し暑くなってきました.生まれたときから,エアコン等なんでも在るような豊かな環境で育った一年生には大変きつい5月−9月です.特に梅雨の時期は大変でしょう.しかし,人間鈍感なもので,一ヶ月前までは,15度を過ぎると暑いなと思っていたのに,この時期になると15度では寒いなと感じています.人間慣れるものです.我慢も必要でしょうし,資源枯渇の危機感も持つべきですね.
 3月から咲き始めたタンポポも,熊本では綿毛に代わり,風が吹くと大空へ舞っています.いろんな綿毛が種子をつけて大空へ舞いますが,何個が発芽するのでしょうか? 種をより遠くへ広げるという素晴らしい植物の知恵ですね.
 熊本は,シロバナタンポポが主流です.タンポポの中では大柄で,堂々とした太い茎に,頭花の外は白く中心が淡黄色の花を咲かせます.セイヨウタンポポも幅をきかせ,平地だけでなく,阿蘇,九重等の山間部の道路際にも繁茂しています.4月終りに岡山に帰りました.いつも思うのですが,岡山市のハシなのに,カンサイタンポポだけで,セイヨウタンポポはほとんどお目に掛かりません.また,ドブ川にはメダカが泳いでいます.草むらにコウゾの若木が伸びていました.アオサギ(鳥)の巣が近くの竹林にあり,うるさいのですが,のどかなものです?[すぐ前は山陽本線,50m先には新幹線が走っています.実家に泊まった人は,寝れないようです.私がどこでも寝れるのは,このお陰でしょうか?
 タンポポは,根,全草を,一日10〜15g煎じて服用すると,健胃,強壮,利胆,解熱,浄血,催乳等の効果があります.また,根はコ−ヒ−の代用としても用いられます.根,葉,花は食用にもなります.
 本邦産(関東タンポポ,関西タンポポ, 白花タンポポ)と 西洋タンポポ の見分け方は,簡単なところでは,蕾,花の時期に,総包(萼,ガク)が花にくっついて立ち上がっているか,または,反り返り,下に向いているかです.大学構内に多い白花タンポポは,わずかに反り返っています. 内モンゴルの草原でもタンポポを見かけました.日本にあるタンポポのお婆さんにあたるのでしょう?.
 タンポポの種子をル−ペで眺めますと,突起のトゲトゲがあります.着地した後何かにくっつくためなのでしょうか? 植物の知恵には,いつのながら敬服するばかりです.
 人間,脳が発達し,知恵を働かせ,車,飛行機,汽車,船,潜水艦,ロケット,コンピュ−タ等を作ってきました.ついでに多量の廃棄物も! しかし,足元にある雑草がいとも簡単に造る成分でさえ,人間は大きなエネルギ−を消費してしか造ることが出来ないのが現状ですね.人間は,自分の身体維持に必要なエネルギ−の100倍以上のエネルギ−を消費しています.その分,大忙しになってますね.
 忙しい中で,どのようにして健康維持をするかが大切です.薬(クスリ),医術だけに頼っているのではなく,昔から人間が行ってきた,未病予防(どうしたら病気にならないか)を,文化・歴史,農業,産業・流通,栄養・食品,医療関係者と消費者が横で繋がり,考えていく必要がありますね.未病予防研究所in田舎熊本でも立ち上げますか? 食・健康は,田舎からですので.

写真2002年4月撮影(矢原)
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原正治,2002.4)

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