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2002年4月

しゅんらん(Cymbidium goeringii)
らん科(Orchidaseae)


里山に春を知らせるジジバンバ(河童)
  桜(ソメイヨシノ)は卒業式(3/22)のころに満開になり、花びらが風で舞っています。今は、八重桜、ツツジ等が咲き始めました。産業道路(豊肥線の鉄橋付近)のオオシマサクラも3/30(土)に花びらが舞っていました。
 子供のころ、冬に祖父と裏の松林に入り、アカギレの薬を探したものです。名前はジジババです。また、どのようなところにあるか、ここには秋にはキノコが生えるから荒らさないように、この木は薪に使い、この木は切ってはいけない等と教わりました。私もこのジジババの根っこには大変お世話になりました。ジジババがシュンラン(春蘭)と言う名前と知ったのは大学院で生薬学研究室に進学してからです。香りが大変強いモノもありますが、普通は、写真のような質素で香りのほとんどない花を、3−4月に、根ぎわより花芽を出し、葉より少し高い位置に咲かせます。薬用としては、根をヒビ、アカギレに民間薬として用います。蕾、花は、料理に生食するほか、花酒、蘭茶等に用いられます。私たちの身近にはいろんな薬草がありますね。必要量だけを採取して下さい。
 阿蘇にはワラビが出始めました。キスミレ、ウマノアシガタ、キツネノボタン等、黄色い花が咲き始めるころです。ワラビは、牛の餌にはなりません。毒草ですので牛は食べません。人間はアク取りをする知恵を持っていましたので、食べることが出来ます。また、根もさらすことで、有毒物質を除き、ワラビ餅等に澱粉を利用しています。
 街路樹の根元にも春の芽吹きがあります。上を見上げるとヒバリが鳴いています。もうすぐ、蜘(クモ)の子供が孵化し、しっぽに糸をのばし、大空を飛ぶのもみることができます。ただ毎日黄砂が降ってくるのはいやですね。原因は、中国黄河流域、黄土高原の砂漠化が進んでいるからです。黄河流域で栄えた王朝の都の周りは森林があり、豊かな森だったようですが、現在森林面積は数%に減少しました。内モンゴル中部から西はほとんど砂漠です。原因は、貧困のために木々を燃料に使ったからでしょう。今は、その燃料の木、その下の草すらありません。現金収入を得るために黄土高原に分布する生薬原料の甘草、麻黄の乱獲採取も原因です。1998年から砂漠化対策に中国政府もようやく動き出しました。それもあり甘草、麻黄の輸出規制がかかっています。日本の農林業も似たところはありませんか? 自然を知るには科学(化学)の基礎と歴史を勉強することが必要ではないでしょうか?
 日本はヨ−ロッパ、中近東、中国、韓国の文化の終点ですね。また、西からの偏西風で運ばれてきたものがイッパイ降ってきます。アジア、中近東の国々を奇麗にすると、酸性雨、黄砂、その他不明なもが日本に降ってこなくなり、奇麗な環境に戻るのではと考えます。また日本も一層環境に対する取り組みが必要ですね。NGO, NPOが草の根で行っている、誰でも出来る環境を考慮した生活を、多くの国に根づかせることが必要なのではないでしょうか。また、アメリカの戦略に乗って、中国本来の豚肉、鳥肉の食文化を牛肉文化に替えないことです。牛肉生産には、多くの飼料が必要であり、中国がトウモロコシ、小麦の輸入国になると、世界食恐慌が起こることは目に見えています。
 山に入るといろんな植物に出会えます。虫達、鳥達もいます。心安らぐときです。毎日葛藤ばかりでは進歩はありません。人間関係は難しいですが、相手を理解することで、相手以上の自分が出来上がるのではと身にしみています。
 卒業生の皆さん、新しい職場へ、進学へステップし、若者にしかできない発想をして下さい。何がしたいかアイデアが出たら、忘れないうちに書き留めておきましょう。皆さんの成功を祈ります。
 入学式、入社式等、新しい門出は、自然の息吹を感じる春がにあいます。やはり四季と共に生きている日本人には合っています。

写真2002年3月撮影(矢原)
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原正治,2002.4)

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