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2002年3月

せんのう(Lychnis senno Sieb. et Zucc.)
なでしこ科(Caryophyllaceae)


剪紅紗花 紅色もゆる ちぎれ花(河童)
  明治18年,熊薬の前身である私立熊本薬学校が創立して10年経った1896年8月26日に,熊本県八代郡五家荘村葉木で中川久知氏が採取したセンノウの標本が,都立大学牧野標本館に保存されています.薬用としてなじみの薄い植物ですが,今でも茶花,生け花,園芸として利用されており,希少ですが全国で散見されるようです.
 ナデシコ科は,サポニンを含み,石鹸の代用として用いられていました.センノウ(仙翁),中国名・剪紅紗花(センコウシャカ)は,写真の通りの紅色の4cm位の花を夏〜秋にかけて咲かせます.草丈は約60cmですが,大きいものは1.5mにもなる(写真中)ことがあります.染色体数が3nであることから,種子では繁殖しないと言われていますが,中葯大辞典には種子繁殖すると書かれています.日本では普通挿し芽でふやします.
 剪紅紗花は,センノウの全草(根のついたもの)を用い,四川常葯中草葯には,血を散らす,止瀉する.打撲傷,暑気あたりによる腹瀉を治すと記されています.本草綱目の文章から小便を利し,癰腫(ヨウシュ,はれ物?)を治すのではないかと考えられます.このことから剪紅紗花には,駆お血と利水の作用があるように思われますが,検討が必要のようです(どなたか情報を頂けると幸いです). 絶滅危惧種であろうセンノウが身近に有ったのには驚き,それが薬用に用いられていた(いる)ことに更に驚かされました.センノウのお陰で,都立大学の若林先生,横浜の長谷川さん,小石川植物園の下園先生,富山の神戸氏と知り合いになれ多くの情報を戴いています.これからもセンノウを介した人の繋がりの中にいれていただけるよう私も知識を増やさねばと肝に銘じているところです. 人生どこで誰と知りあうか分からないものですね.このきっかけを作っていただいた澤田氏に感謝するかぎりです.これからも多くの人たちと知りあいになれ,思ってもみなかったお話ができることを期待しています.

 今年になり環境ISOの関係で来校者が多く,メ−ルでの問い合わせが増えてきました.講演依頼も長崎大,東大とあり,少しずつ評価が出ているようです.しかし,実践段階ではいろいろと苦労が多く,それなりの評価がなされることを祈るだけです.文部科学省は,学長,学部長にISO取得を勧めているようですが,言うだけでなく審査,維持に必要な経費を出してくれれば,と思っています.必要経費を他人任せにするのでなく学部としても文部科学省に申請することも必要ではないでしょうか.相変わらずストレス解消に勝手なことを言っている毎日です.

写真 左1999年夏(矢原),写真 中,右2000年夏(花房氏撮影)
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原正治,2002.2)

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