熊本大学薬学部
 
  トップページ / 今月の薬用植物 / バックナンバー一覧 / バックナンバー
ワード検索
今月の薬用植物 今月の薬用植物トップ
バックナンバー薬用植物園

2002年2月

ろうばい(臘梅,Chimonanthus praeox (L.) Link )
ろうばい科(Calycanthaceae)


写真左が”ソシンロウバイ ”,右が”ロウバイ”です.
 ”臘梅や雪うち透かす枝のたけ”(芥川龍 之介).熊本市内ではほとんど見られない光景であり,阿蘇などの山 間部ではこの光景を見ることが出来るのだろう.2月です.成人式の前後に暖かい日 があり,植物の動きが早くなりましたが,このところ平年並の寒さで動きも遅くなっ ています.温寒の差が激しい年は風邪が流行します.今年はA型のインフルエンザ と,感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)が主のようです.嘔吐下痢には五苓散桂枝桂皮) ,沢瀉蒼朮蒼朮) ,茯苓猪苓) が効きます.下痢でも嘔吐でも,また,二日酔い,車酔いでも,水の変調を正常に戻 してくれる働きがあります.
 今月の薬草は,ロウバイです.生薬名を”臘梅花”(ロウバイカ,la mei hua)と 言い,花蕾を用います.薬性は温,薬味は辛,無毒.中国では,暑を解し津液を生じ る効能があり,熱病煩渇,咳嗽,火傷を治すと,中薬大辞典に記されています.涼 血,清熱解毒の作用が有るとされ,民間薬でも,咳,火傷,解熱に用いることが有り ます.但し,種子にはキノリンアルカロイドがあり,ひきつけなどの中毒を起こしま すので.使用部位には十分注意をして下さい.
 ロウバイ(臘梅)の名前の由来は,一つは,ロ ウの月(12月)に開く梅,あるいは,梅と同じ時期に咲き,香りもまたよく似,色 は蜜蝋に似ていることからきたようです.花は葉に先駆けて,1−2月に開花し,香 りが強く,花弁は半透明の黄色でロウを引いたような艶があります.萼と花びらは区 別しにくく,外側の花被片は黄色,内側は紫褐色をしています[写真右].花被片が 内側も黄色のものをソシンロウバイ(var. lutea Makino)(素心臘梅)[写真左]といいます.果実は倒卵状楕円形(ミノムシの巣に 似ている),熟すと硬くなり,振ると種子が中でカラカラと音をたてます.
 熊薬の東門からはいって30m位の右の樹木の中に1本あます.1月初旬から良い 香りを漂わせています.植物は,目で見るだけでなく,鼻で香りを楽しみ,手でさわ って感触を,薬草はそれを使って薬効を期待するなど,多くの用途を持っています. 人間は,植物の生命をいただいて生きているのを感じる季節です.
 環境ISO14001の認証取得をして,5ヶ月がすぎました,環境側面の纏めにはいってから早1年になりま す.初めての卒業生が3月にはでます.彼らが環境ISOをどのように理解し,実行で きるか等のアンケートの調査中です.これまでの卒業生とは少しでも違った考えを持 って欲しいと願っています.4年生の半分は大学院に進学するので,後輩への啓発を 期待しています.基本的な価値観と倫理観の必要性を痛感し,学生さんのエネルギー (気)をもっと集められればと思う昨今です.

桂皮、沢瀉、蒼朮、茯苓のHPへのリンクは(株)ツムラに許可をいただきました
ソシンロウバイ撮影場所:山口県阿武郡田万川町・藤井家の庭.ロウバイ撮影場所: 熊薬薬草園 2002.1/27, 1/28]
(資料,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原正治,2002.2)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

トップページへ戻る


 
当ウェブサイトの著作権は、熊本大学薬学部に属します。 掲載内容および画像などの無断転載を禁止します。
熊本大学ホームページへ 医学薬学研究部へ サイト案内