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2002年1月

おりぶ(OLIVE, Olea europaea Linne)
もくせい科(Oleaceae)


 新年明けましておめでとうございます.今年もよろしくお願いいたします.

 好きなことを書かせていただいて丸5年,新年早々60回記念号です.新年の薬草はオリブ(オリ−ブ)を選びました.横に今年の干支のウマをつけました.私の故郷岡山県の邑久郡牛窓町はオリ−ブの町です.香川県の小豆島と共に日本でオリ−ブが栽培されたところです.牛窓には長島愛生園(ハンセン病の療養施設)があり,大学生の頃,伯父が長島とその対岸との間に橋をかけたことを思い出します.母の知人が多いこともあり帰省するとよく牛窓にでかけます.この夏も食事と牛窓の海を見に行きました.オリ−ブの木は老木になり少なくなっているようですが,山の上にはオリ−ブ園があり,ところどころの家の庭先にオリ−ブが植わっており,海と小島を見ると地中海に行ってみたくなります.
 オリブの果実はヨ−ロッパ等で食用に,生食,漬物,オリブ油等として多量に用いられます.また,オリブ油は,脂溶性成分の抗腫瘍活性試験等に化合物を溶解する溶剤として用いられました.初搾りのオリブオイルには強い抗酸化活性が有ります(ほとんどの処女油は強さは違いますが抗酸化活性があります).ということはオリブオイルを溶剤として用いた抗腫瘍活性試験は???となるかもしれませんね.東洋の胡麻油,西洋のオリブオイルは大変強い抗酸化能力が有ることが知られています.中華料理には胡麻油,イタリア料理にはオリブオイルが定番ですね.
 薬用では,軟・硬膏の基剤,乳剤,浣腸剤にオリブ油が用いられています.モクセイ科の仲間にキンモクセイが有ります.熊本市は桂林と姉妹都市を結んでいます.中国大陸から持ち込まれたと考えられるキンモクセイが多く,桂林市と似ています.キンモクセイはオリ−ブと同じ仲間ですので,花,果実は良く似ています.果実は冬のこの時期に濃い紫色に色づいてきます.
 今年は,研究の一つとしてカンショの抗HIV活性成分をHIVへとはいかないにしても有効利用出来るようにしようと思っています.新年早々岡山に帰り備前焼の窯元に行き,冬の牛窓の海でも見に行こうかな.
 ★★春の七草は,セリ (セリ科),ナズナ (ペンペン草、アブラナ科),オギョウ (ハハコグサ、キク科),ハコベラ (ハコベ、ナデシコ科),ホトケノザ (コオニタビラコ、キク科),スズナ (カブ、ジュウジバナ科),ススジロ (ダイコン、ジュウジバナ科)です.
 クリスマスから正月まで,飲みすぎ食べ過ぎで弱った胃を休める意味もあり,七草粥が正月明けにふるまわれます.根物葉物の野菜を根も葉も食べ一年が元気でありますようにと願う気持ちも込められています.
 正月のお節料理には,多くの生薬,薬用植物が入っています.黒豆,小豆,胡麻,蓮根,牛蒡,里芋等の野菜,栗きんとんの黄色い色付けに使うクチナシの果実(山梔子),料理を飾る南天の葉,ハランの葉など.雑煮にも沢山の薬用植物が用いられます.酒に入ってるアルコ−ルも適量ですと薬用です.お屠蘇(防風,桔梗,白朮,陳皮,山椒,肉桂等) は全て生薬から出来ています.これを酒に入れ屠蘇酒をつくり飲み,一年の健康を祈ります.
 但し,どのような良い機能性を持った物でも暴飲暴食(飲みすぎ食べすぎ)は害(毒)にしかなりません.健康で,気がきちんと保てる一年でありますよう,皆様の御健康をお祈りいたします.

(資料,内モンゴルの写真提供・藤井晃,写真・文章責任 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原 正治,2002.1)

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