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2001年6月

ほおのき(Magnolia obovata THUNB.)
もくれん科(Magnoliaceae)


 白い綺麗な花が咲いています.だいぶ散って種子が出来ているかな? モクレン科の花は大きくて綺麗です.御存知のコブシ,タムシバ,シキミ,シデコブシが3−4月に終り,5月の中旬にホオノキが花をつけます.今は,ユリノキ,タイサンボクが咲いています.中国のMagnolia officinalisの花を見たいのですが,筑波の薬用植物栽培試験場に行けば咲いているでしょうか? 幹の皮をもらう約束をしているのですが.場長さんがよく替わるので再度確認をしましょう.ホオノキは樹皮を厚朴といい,鎮痙,鎮痛作用があり,漢方では,胸腹部膨満感,腹痛,咳を除くのに,半夏厚朴湯,平胃散,五積散等に配合されます.日本と中国では原植物が異なり,日本市場では,唐厚朴(Magnolia officinalis等の樹皮)と和厚朴(ホオノキの樹皮)と呼ばれています.20年前に和厚朴と唐厚朴に抗アレスギ−試験で差が出ました.活性成分は唐厚朴に入っていたmagnaldehyde A, B等の化合物です(ホオノキを見るたびにあの頃の実験を思い出します).厚朴にはネオリグナン類のMagnolol, Honokiol等が含まれます.Magnolol, Honokiolには,中枢性菌弛緩,抗潰瘍,血管弛緩,血小板凝集抑制,Ca拮抗等の作用を持つ.樹高は5m位で成長が早い分,材は大変柔らかい.太宰府のお土産の”うそ”を作るのに材が用いられる.

 今,薬物設計学(現・創薬基盤分子設計学講座担当)の実習中である,分子軌道論を用いた立体選択的反応の予測と実際の反応,原子と原子を線で結んだ構造を書くのではなく,ロ−ブ(パイ電子)で繋いだ遷移状態構造を理解するための基礎プログラミングを行っています.反応を→で書くのではなく,電子の状態で観る,そこから,三次元構造の身体が観えてこないだろうか.
 学生は何でプログラミング?,軌道論なの?というだろう.キ−ワ−ド コンビネ−ションを用いれば,物理化学,有機化学,無機化学,生化学,生物学,分子軌道論,情報教育等から,薬,身体へとつながるのだが.遺伝子も炭素,窒素,酸素,水素の原子の集まり,それを取り巻く電子の状態で立体構造,反応性等が決まります.薬物は人体に入って化学結合反応を起こすことはめったにない.受容体に近づく(軌道が少し重なる)だけで,いろいろな変化が起こる.
 分かっていて分からないですね.皆さん分かるようにしましょう.

 下の写真は家の庭で咲いているネパ−ルの赤い蕎麦(ソバ)[Fagopyrum esculentun Moench(Nepali Local Neme: Mithe Pharpar)]です.真っ赤な茎をしているので,蕎麦畑が赤く見えるそうです.綺麗でしょうね.蕎麦には多くのフラボノイド配糖体が含まれています.rutinがその代表格で,毛細血管の増強作用が有名です.

(資料:写真提供 薬学研究科・分子機能薬学専攻・創薬基盤分子設計学講座・矢原正治,2001.5.31)

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