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2000年10月

ざくろ Punica granatum
ざくろ科 Punicaceae

 枝が折れそうに実がたわわに実っている.果皮の赤色が増し,いつ弾けるかと楽しみにしている.花は6月ごろ咲く.八重の花には実がつかない.小アジア原産,シルクロ−ドを歩く旅人が咽の渇きを癒した果実の一つっである.他に,ブドウ等もある.真っ赤に熟れた果実(小果)は鳥や虫の大好物である.果実の半分は種子であり,現代の民の食文化には向かないのだろう.最近,ザクロのジュ−スが売り出されている.売り文句は放漫な胸をだが,果肉にはその作用は無いように思える.種子には女性ホルモンが微量含まれることが報告されている.種子は子孫を残す遺伝子を含むため,周皮にタンニンを多量に含み渋い.ただ,発芽は一度鳥のお腹を通ったほうが数段良い.一皮むけるのだろう.
薬用としては幹,根の皮を用いる.成分はアルカロイドのpelletierine等,加水分解型タンニン類を含む.pelletierineには駆虫作用があり,ザクロの皮は条虫駆除薬として用いられる.また,タンニン類には試験官レベルでの強い抗HIV作用(エイズウイルス)が認められている.
 実りの秋,野山に行き,アケビ,マタタビ(未熟は激辛),サルナシ,ノブドウ,熟しカキ等の熟した果実を鳥,虫よりも早く食べるのが楽しみだ.ただ,野草とキノコの食中毒の増える時期である.安易に呑込まないことだ.おかしいときは吐き出そう.
 8月掲載の”カラスビシャクの球茎を噛って一日咽痛い”(実体験より)その時はショウガを噛んだら痛みが和らぐとは教えてくれなかった.熊本ではツキヨタケと雑菌の入ったキノコによる中毒がたまにあるようだ.(熊大薬学部に生えていた毒キノコ


(資料:写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,2000/9)
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