黄色い小さな複散形花序をつける.8月終りから咲き始める.阿蘇の外輪山にも見ら れたが,オケラ同様今は見ることは出来ない危惧植物である.高さ1m近くにもなる
ものも有るが,草原では50cmぐらいである.東海地方の三島で産し,幕府に献上 されたことよりこの名前が有る.日本全国のサイコは葉のつき方などにより分類され
ているが,生薬として用いる根(柴胡)の成分には大きな差異は見られない.日本で は小柴胡湯などの主生薬として用いられ,各地で栽培されたが,安価な中国産の柴胡
(B. chinense, B. scorzoneraefolium の根を乾燥)の輸入,さらに,中国に種子を 持ち出し栽培を行ったために,価格が下がり,日本での栽培面積は最盛期の半分に満
たない.熊本県では,菊鹿町などでの栽培が知られている.漢方処方,小柴胡湯は, 肝臓疾患に効果があるということで,多くの治療に用いられた,その結果,身体の弱っ
た方で,間質性肺炎などにより亡くなった方がおられ,小柴胡湯の副作用と言われ た.これは小柴胡湯としては心外なことであり,医師の誤診,誤処方であり,小柴胡
湯を与えてはいけない証(病気の状態,体質)に投与したためである.これを認めた 薬剤師も責任を問われるべきである.
中国では,柴胡は何に使うのかと聞くと,風邪に用いると言われる.今夏訪ねた内モンゴルの草原で見つけ,尋ねても同じであった.下の写真は,内モンゴルの草原と,万里の長城(八
達嶺)で撮影したサイコである.他に,ワレモコウ,ノコギリソウ[H8.7],オオバ コ,トリカブト[H8.10],ヒゴタイ[H8.8]等の仲間が見られる.(写真参照)
内モンゴルもシャブシャブなどに用いる肉食用の多くの羊などの放牧,さらに草原の 管理不足(金がない.自然に任せている)で草原が西から砂漠化し,自然破壊が進ん
でいるのは寂しいが,馬の糞を燃料に用いた自然の恵みの料理を食すのも美味しいも のである.
(資料:写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,2000/8)
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