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2000年8月

からすびしゃく Pinellia ternata BREIT.
さといも科 Araceae

 花の色は緑〜少し紫ががっているが目立たない.高さ15−20cm位で,写真のとおり,さといも科独特の蛇がかな首立てて舌を出したような花をつける.虫が上から入り,花の下部にある小さな穴から出てくる際に,花粉が雌しべにつくことにより受粉する.熊本の高校生がテンナンショウの花を観察した際,見つけたとのことである.
 植物の名前は花が夏の中ごろに花を咲かせることから来ているようだ.生薬名を半夏といい,球茎を用いる.里芋の皮をむくとイガイガするが,半夏をそのまま食べると咽が痛くてたまらなくなる.しかし,漢方処方(半夏厚朴湯,半夏白朮天麻湯など)では生姜と一緒に処方すると逆に咽の違和感を除く作用を示す.同効生薬と言われる不思議なものである.鎮吐作用を示す物質は(株)ツムラの研究者により,多糖体の他,脂肪酸のlinoleic acid, 3-O-linoleoyl-b-sitsterol,およびセレブロシドなどであることが分かっている.
 里芋,半夏のイガイガ物質は 2,4-dihydroxybenzaldehyde diglucosideなどである.このイガイガ物質は水に溶けやすいので皮をむく前に軽くゆがくと手が痒くならず,簡単に剥ける.里芋の茎はズイキといい,食用にされる.熊本城の壁には兵糧攻めの際の非常食として塗り込まれたり,ミノを造ったりもした.また,旧藩時代には幕府への献上品として,現代では肥後の手芸品として有名である.
 熊本の畑では里芋が大きくなっている.朝露を葉に一杯乗せて輝く姿を見ると,小学生の頃習字が上手になるようにと,七夕前に朝早く目をこすりながら露を集め,墨をすったのを思い出す.あまり熱心でなかったせいか上達しなかった.最近はワープロで書いた手紙をもらうことが多くなった.読みやすいが,やはり自筆の字には心がこもっている.「年寄りくさい」と感じるこの頃である.「くさい」で思い出した,ヘクソカズラ(H10.10) が満開だ.この匂いは防御物質なのか,虫を呼ぶ物質なのか?遺伝子解析が盛んである.しかし,自然には一見簡単だが分かっていないことが沢山あることを忘れてはいけない.
 そこで,狂句一句? ”皆でしよう環境ISO14001”ようやくスタ−トラインにならぶことができた.焦らずにヨ−イドン!

(資料:写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,2000/7)


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