熊本大学薬学部
 
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2000年7月

ちゃのき Camellia sinensis
つばき科 Theaceae

 花は9月ごろから咲きだす.目立たない白い花弁に黄色いヤクを持つ花である.
 日本には,茶の文化と,い草(畳)の文化がある.どちらも薬用として用いられる植物である.
緑茶,ウ−ロン茶,紅茶,塩茶など北半球に,また,コ−ヒ−は南半球からインド,世界へ.世界の距離が小さくなりかけた航海時代に茶,コ−ヒ−はヨ−ロッパ諸国へと運ばれた.何故ヨ−ロッパには紅茶が根づいたのか? 一つ考えられることは,水の悪さ(硬水)のために,緑茶文化は作られなかったのであろう.タンニンが鉄,マグネシウムなどの重金属と結合して溶液の色が褐〜青変する.この色をカバ−出来るのは赤色の色素・テアフラビン類を多く含む紅茶しかないことになる.コ−ヒ−も強く炒ると黒色となり,やはりタンニンにより褐変し,水は軟水化,マイルドな飲み物に変わる.ビ−ルを作るときもホップを用いる.苦味を付けるだけでなく,含まれるタンニンで,酵母の発酵でできたタンパク質を沈殿し濁りを取る.また重金属も除くのではないだろうか? 人類が水をマイルドに飲むためにつかんだ知恵と言える.
 緑茶は蒸して酵素をころす.紅茶,烏龍茶は発酵茶である.茶の葉を積んで放置しておくと内在酵素(ポリフェノ−ルオキシダ−ゼ)で赤茶くなってくる.日本茶,特に早摘みの新芽のお茶はタンニンの量が少なく,アミノ酸が多いのでうま味があり,また香りも良い.タンニンには,抗菌,抗酸化,抗腫瘍等多くの生理作用が報告されている.また,カフェインは不眠等で悪者にされるが,薬として眠気,倦怠感,腎性浮腫,血管拡張性および脳圧亢進性頭痛に,さらに,慢性心臓疾患,狭心症などの改善に用いられる.ただ,過剰に取ると震え,めまい,心悸亢進,不眠,不安の症状が出る.カフェインはお茶の葉,コ−ヒ−の豆,さらにココアやチョコレ−トの原料になるTheobroma cacao の種子などに含まれる.
 お茶は,縮合型タンニン(渋味が長続きする.加水分解されにくい.柿の渋も縮合型タンニンである)
 コ−ヒ−は,加水分解型タンニン(酸,アルカリ,酵素で加水分解され渋味が弱くなる)を含む

 イ(い草)は,灯心草と言い,生薬として浮腫(利尿),小児のカン(鎮静)に用いる.
 日本の水は何処に行っても美味い.その水でいれた日本茶が一番だ.ただ環境汚染で水が危ない状態になっているのを見逃してはいけない. 熊本市の水は美味しいと言われているが,硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が増えている.原因は分かっているが改善策が余り取られていない.
 このような情報の一部はHPに載っている.いつでもその情報は入手できる.薬学部の情報処理室(コンピュ−タ室),図書室は24時間使用できる大変有意義なシステムであり,情報革命を先取りしている.実験時間の空いた時に,また,実験の気分晴らしにコンピュ−タを使って何時でも,眼を世界に向けて多くの情報を入手でき,使用頻度は益々増えている.ただし,ドリンク缶の後始末には注意のこと.

茶の作り方はここをクリックしてください.

(資料・写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,2000/6)


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