熊本大学薬学部
 
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2000年2月

じゃがいも (Solanum tubelosum)
なす科(Solanaceae)

 ジャガイモ澱粉は薬の賦形剤(増量添加物)として薬用に用いられる.
  ナス科植物は本来毒草である.しかし,長年の間,人間の努力による植物の交配(遺伝子組み替え)により,毒性物質(アルカロイド)の少ない食用などに適した物になってきた.典型的な例としてジャガイモ,トマト,ナス,タバコ等がある.最初に細胞融合で遺伝子組み替えが行われたのはナス科であり,有名なのがポテト(ジャガイモ)とトマトの細胞融合で出来た”ポマト”である.ナス科植物は類縁の属で簡単に雑種を作り,植物学者を困らせる.以前,アマゾンで採取したものを,同定のためベレ−ンの植物研究所にお願いして困らせたことがある.
 ジャガイモは南米アンデス産,やせた土地でもできる.近ごろは赤,紫,緑,黄色など多種のものにお目にかかれるようになった.アンデスでは昔からこれらの種を一緒に栽培した.何故沢山の種類を育てるのかというと,自然の気候変化での収穫のばらつきを少なくするための人間の智恵である.日本ではダンシャク,メ−クインが主に栽培され天候の不順が収穫量に大きく影響する.
 冬はやはりジャガイモの入った,おでん,肉ジャガが美味しい.ジャガイモは甘さが少なくいろんな料理に適しているのと寒さに強いので,温帯から亜寒帯の国々で栽培されている.熱帯,亜熱帯,温帯で栽培されるサツマイモ,タロ芋と比べ栽培面積が多い.ジャガイモには,毒性を持つソラニン,カコニンなどのステロイドアルカロイド配糖体が含まれる.特に新芽,光にあたって緑になった皮には1%以上含まれ,これを多量に食べると嘔吐,痺れん等を起こすことがある.最近のポテトチップスには,食べると苦いのがある.これはステロイドアルカロイド配糖体によるものと考えられる.害ばかりでなく,抗菌性,抗腫瘍,抗ウイルスなどの活性を持つ.赤色ジャガイモの色素成分はアントシアンである.
<余談>大航海時代,スペイン,ポルトガルはキリスト教を南米のインディオに布教するということで,アステカなどの王国を滅ぼした.これは「布教」という名目での侵略であった.その反省がなされたのだろうか.
 日本は中国での南京大虐殺などが問題になっている.北京には盧溝橋がある.日本人は殆ど訪れない.何故だろうか.現地で橋を見,記念館の展示を見ることで,本当のことを知るのも必要だろう.そこには中国人の好きな國の順番が記されていた.日本はどのくらいにランクされているか自分なりに考えてみて下さい.意外と上位の方にいました.権威をかさに何をしてもよいと思うのは人間のエゴだろう.
 ジャガイモ畑で花を眺めていると,心が休まる.2月の寒い時期に可憐に咲くサザンカ,蕾を膨らませているコブシ,タムシバを見ると春が近いなと感じるこの頃である.


(資料・写真提供 熊本大学医学部・甲木先生,薬品資源学講座・矢原正治,2000/1)
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