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1999年10月

こうほね(Nuphar japonicum)
すいれん科(Nymphaeaceae)


 水の中白骨の様に横たわるコウホネのね.池や河で泥に埋まったコウホネの根茎を見つけると一瞬白骨かと思うことが有る.生薬名”川骨(せんこつ,Nupharis Rhizoma )”と言う.花は夏の暑い間咲くが,今年は9月も末というのに30度を超していることもあり,咲いているすがたを見ることができる. 川骨は太く新しいものが良品とされる.成分はアルカロイドのnupharidineなどと,タンニン類を含み,止血,利尿,強壮,駆お血薬として,治打撲一方,調栄湯などに,また,日本では実母散などの婦人病に配合される.中国ではヒョウホウソウと称し,Nuphar pumilum(ネムロコウホネ)を基源とするものを用いる.
 台風一過,黄色い可憐な花を咲かせ,倒木の処理作業で疲れた心を和ませてくれる.
 18号台風はひどかった.約60年の歳月に耐えてきたニワウルシ(ヒガキ科)が根元からなぎ倒されたのを始め,コブシ,サクラ,ノグルミなど約30本の樹が倒れてしまった.さらに,日よけ用の棚が横倒しである.復帰できるのはいつのことかと薬草園の方々の心労を思う.ただ,植物はこんなこともあろうかと何千年,何万年の間に素晴らしい智恵をつけていることも忘れてはいけない.動植物はすぐに学び成長することは出来ないが,人間は,愛と,感動をもって一晩寝れば成長する.間違いを犯すことの無いようにしたい.植物は多くの素晴らしいことを教えてくれる.自然で生きる智恵として植物の方が人間より賢いことが沢山有るように思える.

(資料・写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,99/9)


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