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別名,唐薯(藷,芋),甘薯.蕃薯,琉球薯などという.中国から,琉球国(沖縄)
を経て伝わった.短日植物で,日の長さが約11時間以下にならないと開花しない. たまに熊本などでも開花するが結実は難しい.原産地は南アメリカ.種芋が萌芽すた
めには,30度前後の温度が必要であり,寒いところでは栽培できない.食用にする のは塊根である.ちなみにジャガイモは塊茎を食べる.イモは10度以下になると腐
敗を起こす.しかし,低温で冬を越したサツマイモは糖度が増し美味しくなる.これ は,低温で保存すると,細胞内の浸透圧が高まるために,デンプンが分解し,麦芽
糖,ブドウ糖が増加するためである.サツマイモはひと冬越したものが甘くて美味し い. また,女性の大好きな石焼き芋は甘い焼き芋を食べるのに大変理に適った温度で焼
かれる.これはデンプンを分解し,麦芽糖にする酵素の働きを十分に引きだすのに良 い温度である.ちなみに電子レンジで焼き芋を作ると,早くできるが,酵素がすぐ死
んでしまい,余り甘くはない.東北地方でトウガラシを雪の中に干してマロヤカにす るのも同じ原理である.イモだけでなく,葉,葉柄も食用とする.御存知のように鹿
児島の焼酎はサツマイモから作られる.ちなみに熊本の球磨焼酎は米である.ジャガ イモが世界に普及したのは,寒いところで栽培でき,甘味が少なく,各種調理ができ
るからである.しかし,サツマイモには甘味があり,暖かいところでしか栽培できな いのが普及していない原因であるが,繊維質が多く,さらに,少量ではあるが大腸を
刺激し便秘を改善する成分も含む.近年,デンプンしか含まない甘味の無い品種も作 られている.このカンショからの焼酎はうまい.薬用では紅薯(コウショ)と言い塊
根は胃・十二指腸潰瘍の出血,茎は子宮出血,急性胃腸炎,葉は夜盲症,便秘などに 用いられると中国本草図鑑などに記されている.近年,紫サツマイモのアントシア
ン,黄色サツマイモのカロチノイド,葉,塊根のクロロゲン酸などが注目されてい る.特に,紫サツマイモのアントシアンは赤ワインと同じ効能を持つことが知られ,
都城(宮崎),鹿児島などで,ジュ−ス,アイスクリ−ム,紫薯ワインなどが作られ ている. 物は見よう,使いようで良くも悪くもなるものである.食べ過ぎと偏った食事は避
けたいものである.近ごろ思うこと:不法の看板,ポスタ−が無くなったらさぞ街は 奇麗になるだろうな.
(資料・写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,99/2)
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