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1998年11月

ういきょう Foeniculum vulgare
せり科 Umbelliferae


 
ウイキョウと聞くと中国の水ギョウザを思いだす.数年前に,中国の留学生が薬学展(大学祭)の薬膳料理として提案し,大変好評であった.私事であるが,家でも子供たちがたまにつくってくれる.いつも具が多すぎるので皮が破れたのが多い.やはり本場中国の人の作ったギョウザは,見栄えもよく,舌とのどでウイキョウの若葉の味が楽しめる.生薬として種子を用いる.精油成分が多く,胃腸機能の調整,抗潰瘍,胆汁分泌促進等がある.漢方での駆風,去痰,健胃等を目的に,冷え性で,慢性の胃の持たれ,胸やけ等に用いる安中散(桂枝4,延胡索3,牡蛎 3,茴香2,縮砂2,甘草2,良姜1),また,丁香柿蔕湯などに配合されている.名前の似たものにダイウイキョウ (Illicium verum) がある.シキミ科の植物で,この種子はシキミの種子に大変似ている.ダイウイキョウの種子は大茴香,八角といい,香辛料として肉料理などに中華料理で良く使われる.しかし,シキミの種子は有毒成分を含んでいるので間違えて食べると,嘔吐等の症状をきたす.近ごろアジ化ナトウムの事件が多発している.身の回りにも多くの有毒物質があり.人類は経験的,化学的に立証した有毒性を伝承してきた.自然の毒はやはり動植物の本物を見ないと覚えるのが難しい.いくら自然が少なくなったといっても周りには多くの自然が残っている.部屋にこもるのではなく,たまには外に出て自然科学を楽しんでみようではないか.11月は九州では紅葉の綺麗なシ−ズンである.ストレス解消もかねて自然を見に,さあ−山に海に野に出かけよう.

(資料・写真提供 薬品資源学講座・矢原正治,98/11)
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