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1998年5月

だいだい Citrus aurantium L. subsp. amara
みかん科 Rutaceae


 
ダイダイは代々とも書くことができ,代々繁栄,健康で有るようにと願い,正月のお飾りなどに用いられる.ダイダイの皮を生薬で橙皮といい,民間薬で芳香性苦味健胃薬として消化不良,胃腸炎,二日酔いなどに用いる.本草綱目には”悪心を止め,酒毒を解する”とある.ミカンの皮が苦いのは,フラボノイド配糖体のhesperidin, naringinなどのせいであるが,酵素を用い,糖をとりのぞくと水に溶けなくなり,苦味を感じない.昔はミカンの缶詰,ジュ−スなどを作るのにこの酵素が用いられたが,現在は品種改良で苦味物質の少ない品種になり,酵素の製造も中止になっている.私達が正月にこたつの中で食べる,ミカンはウンシュウミカン(Citrus unshiu)で有る.花はダイダイより少し小さい.この皮は生薬で陳皮といい,やはり健胃,鎮咳,去痰などを目的に,漢方で用いる.その中には,脾胃の水毒による強い悪心,嘔吐,心下痞の有るときに用いる,二陳湯(半夏,茯苓,陳皮,甘草,生姜)が有る.私達が日頃捨てている物も役に立つものが多いことが分かる.自然の恵みを大切にしたいものである.

(薬品資源学講座・矢原正治,98/5)

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