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1997年12月

キク(Chrysanthemum morifolium)
キク科 (Compositae)


 
五節句の一つ,重陽の節句を代表する花が菊である.また,君が代の中に出てくるさざれ石のある霧島神宮の紋章も菊である.日本人は昔から菊に親しんできた.しかし,庶民が菊に接するようになったのは江戸時代ではないかと思われる.細川藩・肥後の国の肥後六花(つばき,しゃくやく,ひごしょうぶ,あさがお,さざんか,きく)の中に,菊の花がある.薬用に,食用に花などが使われる.日本では東北地方で花を食用菊とし,酢の物,あえものなどに用いる.酒のつまにはもってこいである.花には,二日酔いを防止する作用がある.中国では茶菊などとして,茶,また,漬物.鍋物,ス−プ,菊花酒などに用いられる.薬理作用としては,菊花の水浸液はネズミを用いた実験で,弱い体温低下,解熱.また,毛細血管の抵抗性を増し,さらに,抗菌性があることが知られている.漢方では解熱,解毒,鎮痛,消炎,血圧降下剤として,感冒,発熱,頭痛,目まい,耳鳴り,眼病などに用いる.漢方処方としては,杞菊地黄丸(枸杞子,菊花,熟地黄,茯苓,山薬,沢瀉,山茱萸,牡丹皮)(六味丸+枸杞子,菊花)が知られ,視神経委縮,中心性網膜炎などの眼疾患などに用いられる.あまり強い作用はないが,菊は「効く」などとも言われ,不老長寿,健康保持などに関する話が,昔からいろいろな書物に書かれている.たいへん興味のある生薬である

(97/12 生薬学研究室 矢原)

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