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1997年8月

くこ Lycium chinense
なす科(Solanaceae)


 
薄紫の小さな花を,また,橙赤色の小さな果実をつける低木である.夏の中国天津で,歩道一面に赤いジュウタンが敷いてあるのを見つけた.何であろうかと近寄ってみると枸杞子であった.果実は甘く,薬膳料理の中に橙赤色の1−2cmの果実が入っているのを良く見かける.果実は生薬名,枸杞子と言い,強壮,肝腎の滋養等に用いる.中国に”春,枸杞の葉を採り,夏,花を採り,秋,実を採り,冬,根を採り,いずれも陰干しにして一夜酒につけてひきあげ,四十九日間,日精月華の気をとり,乾くのをまって粉末とし,蜂蜜で煉って小指大にまるめ,それを朝夕一丸づつ飲む.これを地仙丹と名付け,昔,仙人が,百歳を越えた老人に飲ませたところ,歩くこと飛ぶが如く,白がも黒くなり,抜けた歯もさらに生え,陽事も壮者をしのぐほどであった”と地仙丹の説明がある.すこし,大げさであろうが,クコはどの部位でも薬用として使われ,果実は滋補薬,根皮は解熱薬として主に用いられる.
漢方薬の処方に杞菊地黄丸というのがあり,六味丸(熟地黄,茯苓,山薬,山茱萸,沢瀉,牡丹皮)に枸杞子と菊花を加えたもので,眼科領域の疾患の改善に用いられる.
人間の欲望の中に,若く元気で,長生きし,美貌を保つことがある.不老長寿の薬など有りうるのだろうか?

(97/7 生薬学研究室 矢原)

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