熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

イネ科
Poaceae
ハチク
Phyllostachys nigra (Lodd. ex Loud.) Munro var. henonis (Mitford) Stapf ex Rendle
別名
アワダケ,クレタケ
ハチク
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  • ハチク
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英名
henon bamboo
中国名
毛金竹
花期
初夏
生薬名
①竹筎(チクジョ),②竹葉(チクヨウ),③竹瀝(チクレキ)
薬用部位

①稈の内層,②葉,③稈を火であぶり,切り口から流れ出た液汁

成分

葉にフェニルプロパノイド(caffeic acid, chlorogenic acid),フラボノイド(orientin, homoorientin

化学構造式

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  • ハチク 化学構造式1
  • ハチク 化学構造式2
  • ハチク 化学構造式3
産地と分布

中国原産

植物解説

高さ1020 m,径615 cm.根茎は横に這う.稈は成熟すると灰緑色となる.節は二重に膨らむが,上部の膨出部の方が低いか同等.大枝の基部の第一節間は中実となる.稈鞘(竹の皮)は紫色で,斑点は無く,短毛に覆われる.葉は長さ13 cm,幅1.7 cm,葉裏はやや粉白色,無毛だが基部付近に短毛が出る.たけのこはモウソウチクより1か月ほど遅れて出る.開花は120年に1度とされる.

薬効と用途

稈の内層は清熱,止嘔,除煩作用があり,吐き気,煩躁,不眠,動悸などのほか,咳,鼻血,不正性器出血,妊娠悪阻,体動不安などに用いる.漢方処方では,竹茹温胆湯,温胆湯,清肺湯などに配合される.葉は清熱,鎮咳,止血,利尿,鎮痛作用があり,煩悶感を伴う発熱や熱感,咳,口内炎,小便不利,頭痛などに用いる.口内炎や歯茎腫痛には煎液を外用する.漢方処方では,竹葉石膏湯に配合される.稈を火であぶり,切り口から流れ出た液汁は脳卒中,熱病,てんかん,肺炎などで喉に痰の音がし,胸が苦しい症状などに用いる.

たけのこは美味であり,生鮮食品たけのことしては一級品とされる.稈は細かく割りやすいことから竹ひご細工に利用される.

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