熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

オトギリソウ科
Hypericaceae
ツキヌキオトギリ
Hypericum sampsonii Hance
別名
ツキヌキオトギリソウ
ツキヌキオトギリ
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  • ツキヌキオトギリ
英名
Sampson St.John's wort
中国名
元宝草
花期
5~6月
生薬名
元宝草(ゲンホウソウ)
薬用部位

全草

成分

キサントン類(mangiferin, neolancerin),ベンゾフェノン類(sampsine類)

化学構造式

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  • ツキヌキオトギリ 化学構造式1
  • ツキヌキオトギリ 化学構造式2
  • ツキヌキオトギリ 化学構造式3
産地と分布

四国,九州,および台湾,中国,ベトナム北部,ミャンマー東部,インド島北部に分布し,山地の林縁や路傍に生える.

植物解説

多年草.草丈20100 cm.茎は円柱形で稜はなく,単生あるいは23本が叢生し,直立,上部で分枝する.葉は円頭,対生する葉は基部で広く合着し,大小の明点が多数入るか黒点があり,辺縁には黒点がある.花序は茎頂および枝先に1花序当たり19個が集散状に付き,径(6~)1015 mm,鮮黄色で赤みを帯びることはない.蒴果は卵状あるいは卵状円錐形で,長さ69 mm

薬効と用途

清熱,解毒,止血作用があり,小児の高熱,細菌性下痢,腸炎,吐血,鼻出血,月経不順などに用いる.外傷出血,打撲傷,乳腺炎,火傷,毒蛇の咬み傷には生の全草をつき潰すか乾燥粉末を塗布する.中国で薬用にされる.

絶滅危惧種であるが,熊本県をはじめシカ食害が激しい地域では,シカの忌避植物であるため見かけることが多い.

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